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女のけもの道

2014/12/16

第8回 山のトラブル体験

今月のお題はトラブル体験。何があったかと思いましたが、さすがエンジェルズ、大転倒での大ケガ⇒縫合手術、とか、山で水没?!とか、頭にゴツンで大流血! とか、中々ワイルド。
トラブルにはこう対処すればいいのか...というよりも、その様な状況に陥らないための予防接種とかワクチン的なものとしてご使用してくださると嬉しいです。(Yoko)


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富士山大転倒で学んだ教訓

少し前の話になりますが、4年前の夏、山で怪我をしたときの出来事を、その時に得た教訓を交えてご紹介します。

2010年8月初旬、夏真っ盛り。前年に参加したニュージーランドのレースで、現地ツアーガイドをしてくださったAさん(この方、自身もバリバリのアスリート!)が一時帰国され、またその時一緒にレースに参加した九州の友人Bさんも関東へ遊びに来るというので、お二人と夫と計4名で富士山を登りに行きました。

富士吉田口の馬返し駐車場に車をとめてスタート。始めは霧雨でしたが、雲海の上に出るとまぶしい青空が気持ちイイ!! その日は平日だったせいか、さほど混雑もなく、山頂でしばし真夏の涼を楽しんだ後、下山を開始しました。

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誰もが一度は目指したい富士山。日本一の雲海も見事です

AさんとBさんは快調なペースで下って行きます。自分もそのペースについて行きたい!・・・と思ったのが大きな間違いでした。スピードアップしようとした瞬間につまづき、弧を描きながら激しく転倒(涙)。

☆教訓1:自分の力量をわきまえよう。無理なペースは怪我のもと
(怪我なく楽しむのが一番大事!)

実は、普段からよく転ぶワタシ。今回も「またやっちゃった~!てへへ~」と笑って起き上がりながら、痛みのある左の膝を確認してびっくり! パックリ口が開いています。砂の下に隠れていた岩に打ち付けたようです。およそ7cmほどの傷口には、びっしりと黒い砂ツブが...。奥の方に見てはならないものが見える気もします。思わず手で傷口を覆って、見なかったことにしよう! と思いましたが、現実逃避ばかりもしていられません。タオルで傷口を押さえ、きつめに縛って止血。ここはまだ七合目の手前、なんとか歩けるので前に進みます。

先行していたふたりが七合目の公衆トイレ付近で待っていてくれました。Aさんは、さすが職業柄もあってか、判断が早かったです。私の傷口を見て、なるべく早く病院へ行くべきだと、夫と二人で先行して馬返しの駐車場まで下山し、車を五合目の佐藤小屋近くまで移動してくれました。また、地元の消防署に適切な病院の場所を確認してくれました。自分は「家に帰ってから病院に行こう」とのんびり構えていましたが、少しでも早く地元の病院で診ていただいて大正解でした。夏の暑い盛りだったので、傷口の腐敗がどんどん進んでいたのです。

お世話になった山梨のお医者様は、腐ってしまった皮膚を丁寧に切除して、根気よく砂ツブを一つ残らず取り除いて縫合してくださいました。破傷風の予防接種もしていただき、おかげさまで順調に回復。実は、3週間後に海外レース(UTMB)を控えていましたが、無事スタートラインに立つことができました。

☆教訓2:怪我をしてしまったら、すみやかに処置をしよう
(普段から応急手当について学習したり、遊びに行く場所付近の病院を下調べしておくのも、よいかもしれません)

もしも、この時一人ぼっちだったら...と思うとゾッとします。ありがたいことに、九州の友人Bさんが付き添ってくれたおかげで、七合目から無事に下山することができました。また、夫が持ってきていたトレッキングポールを自分に授けてくれたおかげで、負傷した足をかばうことができました。せっかく遠方から富士山まで来たのに、自分の不注意で楽しい時間を台無しにしてしまって、申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、みんなの助けがなければ、きっと順調に回復するのは難しかったと思います。丁寧に診て下さったお医者様も含めて、みんなに感謝の気持ちでいっぱいになりました。

☆教訓3:山での単独行動は危険が伴うので、できればグループで
(一人で出かける場合は、しっかり準備して細心の注意が必要)

このとき、私は周囲のおかげで事なきを得ましたが、実はいちばん大変だったのは私の夫でした。
早く車で迎えに来ようと、急いで下山した夫。四合目付近の石段で転倒し、腕を強打してしまいました。痛いなぁと思いながらも、私の怪我を優先してずっと我慢していたそうです。あまりにも痛みが取れないので病院で診てもらったところ、骨にひびが...(涙)。その後、一緒にUTMBに参加しましたが、私は包帯一つつけていないのに、夫は腕にギブス。...ダーリン、ごめんよ~!!


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「生きててよかった」。夏の白峰三山縦走

女のけもの道、今月のお題は「山で遭遇したトラブルとその対処方法」。
私の数少ない体験では、ロストして藪漕ぎ4時間とか、だいじょぶだろ~と
思って選んだコースがカッチカチに凍っていて15分で降りられるところを
2時間掛けたとか、(前週は凍ってなかった!)でしょうか。

その時の気持ちや状況をどれだけ正確に伝えられるか...
最近のトラブル体験について書いてみます!

相方さんが「北岳は何度か行ったけど間ノ岳はまだだよね? 行かない?」
と誘ってくれました。もちろん行く行く~!!!
7月最後の日曜日、奈良田に車を止めて始発のバスで広河原へ。
そこから北岳~間ノ岳~西農鳥岳~農鳥岳と進みます。白峰三山縦走です。
雲一つ無い良い天気。広河原から登り大樺沢経由で二俣分岐。
そこから急登が始まります。
すると大きなテン(イタチ科の動物)が慌てて降りて来ました。山を真っ直ぐに降りて行くので
九十九折の登山道で人に出会うたびにびっくりして、それでも必死に駆け下りて行きました。
その時はテンを見られてラッキー♪ としか思っていませんでした。

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こやつがテンです

北岳山頂に着いた頃はかなり風が強かったのですが、北岳小屋で補給をして
間ノ岳を目指す事にしました。
間ノ岳でも風の強さは衰えず、雨の量も増えてきました。
当然山頂では何にも見えません(泣)
でも、ここまで来たら戻るも進むのも大して変わらないので、農鳥岳を目指しますが、その頃には手の付けられない、強風というよりは爆風になっていました。

雨が当たると痛い。感覚では水ではなくほぼ固形です。
風向も一定ではなく、吹き上げてきたり、横殴りだったり、正面からだったり、
斜めから叩きつけてきたりとバリエーション豊富です。
風向きによって顔の向きを変えないと呼吸も出来ません。
稜線では姿勢を低くして身体に力を入れて一気に進まないと吹っ飛ばされます。
吹っ飛ばされて、落ちます。

第1回IZUトレイルジャーニーの時に吹いていた風が、優しく思えるくらい
強烈で狂暴な風でした。
この話をすると「相方さんとケンカにならなかった?」と聞かれます。
ケンカにはなりませんでした。
それっぽいのは一度、
寒さに弱い相方氏:「もっと速く進めないの? このペースだと死ぬよ」
私:「前進はしますがこれ以上の加速は無理です」

敢えてケンカというならこれくらいでした。その後、
「死ぬって言われてもこれ以上速くは進めねーよ! 寒さに弱過ぎだろ!」
と言い返しました。脳内で。
言い合いをするくらいなら1㎜でも前に進んで早く大門黒澤小屋でビールを飲みたい。
ケンカに使うエネルギーなんてありません。

農鳥岳を超えるといきなり風向きが変わる...というよりはウソの様に風がなくなります。
きちんと計測してないのですが、およそ3時間、爆風にさらされていたと思います。
ホッとして、体温を奪う風がなくなり体が温まってくるのが分かります。
力まず歩けるのが嬉しいです。が、ここで油断すると転んだり捻挫したりするのが、
私のパターン。
気を抜かずに下山しました。
大門黒澤小屋で休憩をすれば、後は美しい森の中を下るだけです。
結局最後に捻挫をしましたが無事に奈良田の駐車場に着きました。
帰りの車中では「生きててよかったね~」を何度も何度も繰り返しました。

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大門黒澤小屋から奈良田までの間には、
こんな手作り風の橋が

ここで改めてトラブルの対処法を考えてみると...
○晴れていてもレインウェアはしっかりしたものを持つ
○強風の稜線は姿勢を低くして身体に力を入れて一気に進む
○慌てず前進、相方とケンカをしない

これらのどれでもなく、「北岳で引き返す」が正しい対処法だったと
思います。
思い返せば、あのテンは悪天候の前兆だったのです。
せっかく早起きしてここまで来たのにとか、白峰三山縦走すると
決めてたからなんて思いは事故や怪我を招くだけです。
引き換えす勇気を持つ事が大切と痛感した白峰三山縦走でした。


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思い出しても辛い高山病体験

山のトラブル、小さなものだと、天気予報で雨マークがなかったからシェルしか持たずに山に登ったら途中で土砂降りになってずぶ濡れ、ダッシュで下山すると下界はピーカン晴れ。夏だったから雨でも気温が低くなかったから良かった! とか、履き慣れたシューズだったけどその日はソックスとシューズの相性が悪かったみたいで靴擦れ、絆創膏は持っていたけれど走っていると絆創膏も擦れて剥がれてしまい痛いのを我慢、そしてシューズの踵は血で染まっている! とかでしょうか。

ピンチ! と思ったほどのものだと高山病が二度あるんです...。一度目は富士山でのこと、その日は前の晩から富士吉田に行き、野宿をして朝早くに登り始めることになっていました。夜の星空はとってもキレイでそんな素敵な星空を見ながら眠りについたのですが、夜中に雨が降り出したのです。そこで、屋根のあるところに移動したりしているうちに眠れなくなってしまいました。朝には雨が止んだので寝不足のまま登山開始。もともと、高地順応が良くない私は寝不足もあるのでゆっくりと登ることにしました。特に異変もなく山頂まで登ったのですが、また天気が怪しくなってきたのですぐに下山することに。

下山し始めるとなんだか体調がおかしい感じ。胃の辺りが気持ち悪いし頭が重いような痛いような気がしてきました。前にもお鉢を回っている時に頭が重くなってきたことがあったけど、ある程度下山すれば頭痛も解消して大丈夫だったので下山を急ごうとしました。ところが、身体が思うように動かずに、吐き気もしてきました。なんだかよく分からなくて涙が出てきて、自分でもどうしてよいのか分からなくなってきてプチパニックです。

上着とズボンも自分で着ることも出来ずに着せてもらって「ごめんね...ごめんね」と泣きながら一緒に登った仲間に謝るばかり。その時、ちょっと横になりたいと思って山小屋に何件か聞いたけど、高山病は早く下山するしかないのだから、と断り続けられました。でも一軒だけ山男風のヒゲのおじさんが休んでいいよって言ってくれました。ほんのちょっと横になったら楽になってまた歩けるようになり、無事に5合目まで下山。本当は馬返しに車が置いてあったのだけど、仲間の1人が先に下山して車を5合目まで移動しておいてくれました! その心遣いにも感謝なのですが、5合目まで降りてきて謝り続ける私に対して、一緒にゆっくりと下山して励まし続けてくれた仲間が、あの状態で下山したのは本当に偉いと褒めてくれるんです。さらに涙、涙な富士登山となりました。

二度目は白馬で起こりました。この日も夜中に車で移動して仮眠をとっただけだったので睡眠不足。予定していた行程の半分以上進んでから、吐き気と頭痛で動くのが辛くなってきたのです。元来た道を戻るか迷ったのですが、ゆっくりであれば動けるので荷物を持ってもらい空身で前に進むことが出来ました。その日はテント泊の予定だったけど、ぐっすり眠るために山小屋に泊まりました。そして翌日はすっかり元気になり高山植物や景色を楽しむことができました。

二度の高山病の原因はどちらも寝不足で、それは前日だけではなくて日々の睡眠不足からきているのではないかと思います。体調管理が出来ていないがために一緒に行ってくれた仲間に迷惑を掛けてしまって申し訳なかったと反省すると共に、信頼出来る仲間と一緒で本当に良かったと思っています。

レースで救護のお手伝いをしていて、コワイなぁと思うのは脱水です。重症は死を招くとっても怖いことです。レースだと速い選手ほど重症になっているような気もします。水分をギリギリで持っていくこともあると思うのですが、脱水は筋けいれんを起こすので動けなくなってしまったり、意識障害を起こすリスクもあります。その場で点滴をして少し回復して自力で帰れる人もいるし、救急車で運ばれて入院する人もいます。回復してもしばらくは走れるような身体ではないので、後々にもひびきます。一概に水分をどれくらい取れば脱水にならないとは言えないのですが、日ごろから自分が必要な水分を気温や湿度、体調など意識しておくといいですね。山では何が起こるか分からないので水を余分に持って行くように個人的には意識しています。

まだまだトレラン中のトラブルはたくさんあると思います。例えば、私の周りでは蜂に刺される人も何人かいました。トラブルが起きないように備えることも大切だし、起きてしまった後の対処法を知っておくことも大切ですよね。救護のお手伝いで知り合った野口いずみ先生が出版されている『山登りトラブル回避&対処マニュアル』(大泉書店刊)
http://www.oizumishoten.co.jp/books/04729.html 
この本はザックの中に入れて持っていきやすいサイズなのでイザという時のためのバイブルにもなるので、参考にしてます。なるほど~と思うこともたくさんあって、トレラン時のトラブルにも役に立つと思います。

野口先生(『週間ヤマケイ』2014/11/13号より)
http://www.yamakei.co.jp/weekly_yamakei/backnumber/html/20141113/Text/20141113.html


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怪我に遭遇してわかった「真水」の役割

私はトレランを始めて約7、8年が経ちますが、幸いにも救急車やヘリコプターで運ばれるなどの大きな事故、怪我に遭遇したことはありません、今後も遭わないことを願っています。でも小さな怪我や出血事件は多々あります。

トレランを始めた頃は普通険しいテクニカルなトレイルで起こりそうですが、林道などのわりと平坦な場所で気が抜けて、グキッと足首を捻挫することがよくありました。
後は山を走っている方ならだれしも経験していると思います。足元の石や木を跨いだつもり...、避けたつもり...でゴツン、ズリと膝やすねに傷や打撲を負ってしまうことはよくありますよね〜。この傷が年齢を重ねることに回復が遅くなり、なかなか治らず、夏に素足を出すことが恥ずかしくなるぐらいです(笑)。トレランをやっていない友達に「どうしたの? その傷だらけの脚?」と、なぜ多々傷が出来るのか不思議に思われます。まるで外で遊び回った子供のような脚となり、まさに大人の山遊び〜ですね。
それから、足元だけではなく頭上の木などにも要注意です。足元ばかり気にしていると、不意にゴツンと衝撃が! 一瞬なにが起きたか分からず、星がチラチラ〜失神!なんてこともありますね。

そうそう約4、5年ぐらい前ですが、街に近い里山のトレイルツアーに参加した時の出来事です。スタッフは1名、参加者は女性が6、7人ぐらいでした。初心者の方もなかにはいらっしゃったと思います。私はいちばん後に付いて走っていると、前方でなにかが起きた模様、近づいてみると、額から出血している方がいるではありせんか! どうも頭上の木に頭をぶつけたらしく、本人は大丈夫と笑顔ですが、その笑顔には大量の血が流れ、それを見た周囲の人の方が顔面蒼白になってしまいました。とりあえず傷口消毒のため「水、水、水」。本人はポカリスエットを持っていましたが水はなく、スタッフさんが水を持っていました。私も補充用の水があったので、足りなければ提供する準備をしました。血を洗い流し、後はタオルなどで止血をし、応急処置を済ませました。その方は地元の方だったのでツーリングは途中で止めて、無事帰宅されました。

トレランを楽しむためにまずは事故、怪我に要注意ですね。ツーリングの際は皆で危険を知らせるなども大切ですね。
それから、この出来事から傷口の消毒にはまず「真水」が必要であることを再認識し、私の必須携帯に「水」が加わりました。

怪我、事故無くトレランを楽しみたいですね。


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バケツをひっくり返したような大雨が突然降ってきた!

昨年の初夏、友人の企画したナイトスルーラン&ハイクでの出来事です。

参加者は男女6人。奥多摩湖から大菩薩方面へ向かい、石丸峠から南下して河口湖へ向かうルート。朝9時スタートし、ゴールは30時間後の翌15時の予定。天気予報は夕方から雨。レインギア上下はもちろん、ゴアテックスのミトンや防水ソックスも用意。雨の様子や体調によっては避難小屋に退避し仮眠できるよう、シーツやシュラフカバーを携行して出発しました。

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ある~日、森の中、○○さんに出会った。ラララララララララー♪♪

石丸峠に差し掛かるあたりで、やはり予報通り雨が降り出しました。とはいえ、気温も高く、さほどの雨ではなかったため、シェルを一枚羽織る程度でそのまま進みました。
倒木が多いやや不明瞭なトレイルを進み続けた後は、夕暮れの靄の中、鹿の親子の群れが駆け抜けていく美しい森へ。標高2000m弱の尾根筋は、下界の暑さを忘れさせてくれます。ウキウキと軽く走りながら進んでいたのですが、急に雨が強くなり始めました。

雨を避けられる木の下に入ろうと急いで進みましたが、尾根にはそんな都合の良い木はすぐには見当たりません。
慌てて荷物を下ろし、レインギア一式を取り出しましたが、着る暇もなくずぶ濡れに。文字通り、バケツをひっくり返したような雨。レインミトンをはめている間に、雨が腕をつたってミトンの中にザブザブと水がたまるほどでした。
私ともう1人の友人は、少々先行して進んでいたため、その場でしばらく後続を待っていたのですが、あっという間に体温が下がり、ガクガクブルブル震えが始まりました。

湯の沢峠の避難小屋までは黒岳で分岐があり、本来なら全員で行動した方が良いのですが、身の危険を感じたわたしたち2人は、先に進むことに決めました。
レインギアも役に立たないほどの大雨に、普段ならカリカリザレザレの砂地もぬかるみに変わり、むしろ下り坂が怖くなくなったのは救いでした。なんとか避難小屋に辿り着くことができました。

避難小屋に誰もいなかったことも助かりました。天気が良ければ、たくさんのハイカーが集まるであろう小屋ですが、その日の利用者はわたしたち以外いませんでした。
ほどなく全員無事到着し、雨が弱まるまで避難小屋で過ごすことに。

バーナーでお湯を沸かし、尾西のごはんをカイロ代りにして、避難小屋の毛布とシュラフカバーに包まることができたので、身体は温まり、濡れた服も乾いていきました。
結局、雨は止むどころか強さが変わらぬまま降り続け、私たちは朝までゆっくり眠り、すっかり元気になりました。

とはいえ、全体的にもっと進む速度が遅かったら、避難小屋がなかったら、気温がもっと低かったら、風が強かったら、誰かが怪我をしていたら、誰かが道を間違えたら...そんな風に考えるとゾッとする体験でした。

レースのような感覚でゴール時間や完走することにこだわると、軽量化にばかり気を取られてしまったり、無理に進んで体力を消耗してしまう可能性もあります。
突発的な出来事が起こったときに対処できる準備(装備に限らず判断力なども含め)を、しっかりしていくことが大切だとあらためて感じました。

そして、これは余談ですが、翌朝目覚めていちばんゾッとしたのは、この貼り紙...。

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ああ、遭わなくて良かった!!!


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持ってきたはずの地図がない!!

山の持ち物は余分に持っていくモノって、あまりないですよね?!食料、水、雨の時の着替えくらいかな? 多くの人が必要最低限+αの荷物で行動していると思います。
ひとつ必要な物がなくなるだけで、とっても困る場合が沢山。
山に限りませんが...忘れ物、落し物でハッとした経験はありませんか?

奥多摩湖 から 河口湖までの区間を決められた通過地点を通過し、指定時間内で踏破するイベント(通称L2L)での出来事。
通過地点が決まっているため、事前学習でコースの概要は頭に入ってました。山と高原の地図の「No.23奥多摩」、「No.24大菩薩嶺」、「No.31富士山」3つの地図が必要となるため、前日の準備でザックに入れたはずでした...。

スタートしてしばらくの間は奥多摩の地図のみで対応できるので、手元に持っていたのは奥多摩の地図だけ。大菩薩嶺と富士山のふたつはザックの中にしまった。と思っていました。
三頭山を下り、鶴峠、奈良倉山を通過、松姫峠で休憩を取りつつ、この先の地図確認をしようと思ったら、どこにも大菩薩嶺の地図がないのです。

「あちゃー、やっちゃった。」と思った瞬間でした。
この先の牛ノ寝通りから先は初めて行くルート、夜、雨、単独行動。
さぁ、どうする。行く?!行かない?!

「行く」という選択肢は、なんとなく頭の片隅に入っている通過地点を頼りに、道標を頼りに進む。「行かない」という選択肢は、このイベントをリタイアする。だけど、その後はどうする? 来た道を戻る? 持っている地図の範囲内で下山して帰れる道を探す?
私の選択肢は、「この先の分からないイベントコースは行かない」「リタイアのため、主催者に連絡(ルール上、リタイアの際に主催者に連絡、その後各自解散)」「地図の範囲内で下山ルートを選択」「下山してもバスが動かないので、明るくなるまでビバークしてから行動する」でした。

必要な物がないと、やはり焦ります。でも焦っても何も解決しません。忘れ物に気が付いた時点で、その物がなくてもこの先大丈夫なのかを考えて、次の行動を選択します。
複数人で行動しているときは、仲間に相談して解決することもあるかもしれません。
後は、忘れ物をしない工夫かな。必要な荷物を一揃えして、ザックに入れる順番を決める等の自分ルールがあるといいかも?!ですね。

その他によくあるのは、カメラ、携帯、手袋、タオル、お財布等々の落し物や置き忘れ。
ちょっと休んだ時に、どこかに置き忘れってパターン、よくありませんか?
「自分は、まさか」と思っている方も、その当事者になって初めてその不幸を体感するもの。
私は立ち止まって物を出した時は、必ず後ろを振り返り、辺りを見回し「忘れ物なしっ!!」と声を出してから再出発します。
いまのところ、山に置き忘れてきた物はないです。皆さんも是非試してみて下さい。


まとめ――トレラン王国編集部
誰一人として「今日、怪我をするかもしれない」と思って山に登っている人はいませんよね。でもちょっとした不注意や準備不足、体調不良で起こり得るのが想定外の怪我やトラブル。「万が一」と言う言葉がありますが、それは9999回目に起こっても10回目に起こっても万が一に変わりはありません。例えばガレ場の浮石でバランスを崩したり、木の根の踏み所が悪くて捻挫というのは歩いていても起こる事。もし一人で山に出かけて怪我をしたら、一緒のメンバーが怪我をしたら、あなたはどう対応しますか? 応急処置の方法やその後の行動の事もイメージし、万一のための備えと心掛けがなにより大切なのです。
次に天候の急変。これは山ではしょっちゅうです。夏のゲリラ豪雨、秋のつるべ落とし、冬の寒さは言うにおよばず、春の残雪と突風。われわれは山という大きな自然の中で遊ばせてもらっているという謙虚な気持ちを常に忘れずに、安全で楽しい山行を実践しましょう。

TOPページイラスト=Y.UTSUMI(チームエンジェルズ)

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