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EMMA_SON TRIPPING

2016/05/28

第13回 肉離れとリハビリから学んだもの

こんにちは! EMMAです。前回の100マイルの記事を多くの方に読んでいただけたようで、メッセージをたくさんいただきました。ありがとうございました。
さて、今月はその後の話なのですが、実は100マイルの2週間後に『奥三河パワートレイル』(愛知県)の70kmを走ってきました。しかし、30km地点で「肉離れ」を起こし、残り40kmを騙し騙し走って全関門を通過したもののゴールの制限時間には間に合わず、27分オーバーでゴール会場に着くという結果でした。

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前夜のレース準備

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閑散としたゴールゲート前で引き攣る顔

結果には原因がつきものですが...、
「そもそも100マイルに向けての練習がやりすぎだ(最後の一か月は月間450kmくらい)」
「100マイルの2週間後で疲労が抜けてなかったんじゃないか」
「故障しても走り続けるのはどうなんだ」
などなど。色んな声が四方八方から聞こえてきます。どれもそうだと言えばそうかもしれません。

ちなみに昨年ほどではないものの、レース当日は比較的気温は高く、またコースの特徴から筋肉の痙攣を起こした人も多かったそうです。私も脱水には気をつけていたものの、途中でトイレを我慢して水分摂取量が減り、ちょうどそれが下りの爆走区間だったこと、にもかかわらず急に立ち止まり、急に強く踏み込んだという状況で突然、左の前腿(太ももの前側)の肉離れを起こしました。

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風光明媚な奥三河ではあったが、今年も日差しの強さと蒸し暑さが選手を苦しめた

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お馴染みゴール直前の橋。まさかこの手すりを掴まないと渡れないことになるとは夢にも・・・

けれど、やはり100マイルの疲れが残っていないわけがありません。ただ、同じ100マイルを走った仲間何人かが同じように2週間後の奥三河に出て、無事完走しています。何がどうあれ、それもまた、実力なのかもしれません。
太腿に痛みが出てから40kmも走り続けた代償はとても大きく、負傷した左足の肉離れは想像よりも酷く、レース後も試練を抱えることになりました。最後まで諦めないこと、やめる勇気、トレイルランニングを永く続けるということ、レースの厳しさと楽しさの狭間。天秤にかけるさまざまなこと。今回のことで色んなことを深く考えるきっかけとなりました。

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脚を手で持ち上げたり支えたりしながら走った。たった数m進むのも辛かった

怪我のまま走った代償

レース翌日、脚はまったく曲がらなくなり、少しでも曲げようとしようものなら激痛が走り、全身の神経にビリビリと電気が走るという状態。さらに翌々日の朝、起きて鏡を見て驚いて腰が抜けそうになりました。左足は腫れあがり、右の2倍くらいの象足状態。腫れあがった足の内側が内出血で真っ黒になっていました。

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写真では伝わらないけれど、派手な内出血とぶよぶよに水が溜まった脚にびっくり

慌てて検索すると、肉離れの程度についての記事が出てきて、内出血を伴う肉離れは重度であることがすぐに判りました。整形外科にかかると、「う~ん、全治2~3ヶ月かな。歩くのがつらいなら、松葉杖使いますか?」と言われる始末。がっくりと肩を落として病院からの帰り道で5~7月に控えていた3つのレースのキャンセルを決めました。涙こそ出なかったものの、滅多に落ち込まないわたしもさすがに自分の信念を疑うまでの葛藤に苛まれました。

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玄関前のこんな小さな段差ですら一歩が出ない

大石由美子さんの優勝に想う
「復活」への希望

今回の第2回奥三河パワートレイルで優勝したのは、大石由美子さんでした。女王の強さ、さすがとしか言いようがありません。大石さんというと、一番に思い出すことがあります。2年前の『OSJ安達太良山トレイル』のレースに出た時に、コース上で小さな体をさらに小さくして医療スタッフに背負われているところで擦れ違いました。その先ではスリッピーな激下りでお尻をついてズルズルと移動していました。
本来ならば優勝するような方とコース上で遭遇するわけもなく、一瞬理解ができなかったのですが、膝(ヒザ)に大きな怪我を負っていたのだそうです。簡単に下山できないところで負傷してしまったのだと思うのですが、歩けもしないということは相当な大怪我だったのだと思います。その光景はいまでも私の脳裏に焼き付いています。初めて見にいった2013年の『ハセツネ』で優勝を目の当たりにし、勝手に「無敵の女王」という印象を持っていたからかもしれません。

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安達太良山トレイルレースもかなりハードなコース

それからしばらくレースの第一線から離れていらっしゃったと思うのですが、昨年の『STY』で2位、『ゴビマラソン』で3位になるなど、再びお名前を見るようになりました。それでも今年に入っても怪我をして走れない時期があったそうで、今回の奥三河の優勝を聞いた時にはなぜかすごく嬉しい気持ちになりました。
トップ選手なのだから、大きな怪我にきっと私が想像できないくらいの苦悩や葛藤があったと思うのです。治療を尽くしてトレーニングを重ねて、結果を残したり揮わなかったり、気持ちが上下しやすいだろう状況でも再び優勝できるそのメンタル・芯の強さにすごく刺激を受けました。今シーズンの予定もあまり決まっていないようで、様子から見るにさほど焦ることもなく気負いすることもなく、マイペースに楽しんでいるのかなという印象が、怪我で落ち込んだ私の気持ちを和らげてくれました。

全治2~3ヶ月と言われてから
1ヶ月でジョグを始められるようになるまで

こうなったら最強のポジティブシンキングで出来ることを全部やる! そう決めて、出来ることすべてを尽くしました。肉離れ経験のある友人が熱心にリハビリを教えてくれたり、母親が色々調べてサプリメントを送ってくれたり、通っている治療院の先生に励まされたりして周りに支えられながら、とにかく全力を注ぎこんで4週間一歩も走らずに耐え抜いて治療に専念しました。おそらく正解などなく、色んな考え方があり、しかも色々やったので何が効果的だったかなど検証していないですが、参考までに紹介したいと思います。

1) ピンチはチャンス、いまできることは何か
脚が動かない、じゃあ今なにをやるか。「安静安静」と周りは言うけれど、じゃあ怪我をしている部分は安静にして他に何ができるだろう? そう考えて、脚を曲げなくてもできる筋トレやストレッチを毎日繰り返しました。走れないストレスの解消にぴったりで、怪我のおかげで苦手な筋トレをなぜか無我夢中でやるという自分でも笑っちゃう展開です。有酸素運動をしていなくて身体は重いものの、体重の増え方はほどほどに抑えられ(それでも増えた)、なんとかぎりぎり運動できる状態を維持しました。3週目くらいからウォーキングができるようになり、4週目には自転車に乗れるようになり、これまであまりやってこなかった筋トレは身体だけでなく、精神的なモチベーション維持に役立ちました。

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お散歩がてらに近所の公園で腹筋

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ゆっくり脚を上げてみようとするけれど、段差を攻略するまで3週間かかった

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自転車も最初は筋肉が衰えてしまっていて、
ほんの数kmで脚がガクガクに

2) 代謝が下がらないようにする
次に、毎日走ってドバドバ汗をかいていたところから、ぱたりと運動をしなくなるわけで気持ち悪くて仕方ありません。どんどん代謝がわるくなることを恐れて、じゃあ何をしようかと考えた時に取り入れたのが酵素浴。友人からおすすめされて通ってみることに。海水浴で砂に埋められている人のように(笑)、ヒノキのおがくずに15分ほど包まれると汗びっしょりに。米ぬかやおがくずなど色々あるけれど、私は奈良吉野のヒノキのおがくずを使った酵素浴のお店へ。米ぬかは独特な臭いが身体について気になるけれど、ヒノキは山にいけない気持ちも包み込んでくれる森の香り。

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酵素浴のお店『えんLeaf』。木々に包まれるとリラックスする

酸素カプセル、岩盤浴、サウナ、炭酸泉。いろいろとあるけれど、「森のなかにいる感じ」が気持ちよく、スネや手の甲、耳の裏のような場所まで毛穴という毛穴から汗が玉のようになって吹き出るのですっかりお気に入りになりました。汗かきにくいという人や、身体の芯まで疲れたレース後のリカバリーにも良さそう。脚への効果はわからないけれど汗をかくことで身体はすっきり、何よりもお肌はつるつるです(笑)

3) とにかくひたすら温める
とはいえ、毎日酵素浴に通うことができるわけでもなく。それ以外の日はできるだけ湯船に浸かるように心掛けました。近くの銭湯に行ってみたり、自宅で本でも読みながら長風呂してみたり。そういえば100マイルの直後に初めてフルマラソンでサブスリーを達成したという友人も長風呂をしていたと言っていました。怪我の後から内田治療院というところの鍼治療に通っていて、しっかり温めるようにと言われていて、治療の効果をすこしでも高めようととにかく温めることを意識しました。肉離れした患部の周りがどんどん固まってきて膝の動きも悪く、それを温めて患部以外をマッサージしたりストレッチすることでなんとか軽減しようという作戦です。これは他の作戦と併せることですごく効果があったと思います。

4) 食べものやサプリメントのパワーを利用する
暴飲暴食が何よりも心配で(笑)、我慢できているかというと比較的走っている時と同じくらい食べてしまっているから、そこそこ体重は増えてしまっているのですが、内容は意識しました。私が紹介するまでもないですが、タンパク質と野菜を積極的に摂るために白身魚や鳥肉、大豆食品中心の生活に。身体を冷やす食材はできるだけ避けました。基本的にこの3つは大好物なので苦でもなく、仕事が忙しいなかで自炊するのがやや大変だったくらいでしょうか。

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豆乳大好き

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鶏肉も大好き。遊びに行ったキャンプでも鶏料理

また、サプリメントはトレイルランナーなみなさんならご存知『MAGMA』、『L-グルタミン』、『クレアチンのパウダー』、『アミノプロテイン』などを取り入れました。スポーツトレーナーをしている母が色々調べて送ってきたものでよくわからないですが(笑)、普段天然系以外のサプリメントやプロテインをほとんど飲まない私には新鮮でした。美味しくないな~と思いながらも念じるように飲みました。

5) メンタルコントロール
最後に、一番大事だと感じたのがメンタル面。4月末に怪我をしたもので、ゴールデンウィークの楽しい山の予定がすべてキャンセルになりました。連休は10日間ほどかけて、残雪の高山や普段なかなか行けない100km級のロングトレイルに行くことにしていて、今年もたっぷり予定を組んでいたのですが、それが【安静】という予定に変わってしまったのです。

SNSに次々とUPされるみんなの楽しそうな山の写真。ベッドに寝転がりながら、曲がらない足を撫でつつi Phoneを眺めていました。気が狂いそうななか、家のなかで独りじっとしていても仕方ないと街をできるだけゆっくりの徒歩移動をして、暇をしている友人を見つけだしては山の話やトレイルレースの話をして意識を未来に持っていくように。きっとトレイルランナーあるあるだと思うのですが、とにかく盛り上がって尽きないレースやホームコースの話。うだうだと話しているだけで時間を忘れる楽しい時。半年1年走れないわけじゃない、登ってみたい山、走ってみたいレースに思いを馳せていると、とにかく復帰が楽しみで楽しみで仕方なく、そのためには早く治して復活するぞ! と治療とリハビリにも熱が入りました。

「よくグレないでそんなに熱心にリハビリするね」、と度々言われましたが、これもまた試練で、つまりレースみたいなもの。自分の境遇を経験のひとつとして楽しむのも私流なのかもしれません。色々人体実験をして、身体の声を聞きながら4週間。地道に続けたあれこれの効果が出てきたのか4週目になってみるみる脚が動くようになり、ついに5週目に入ってジョギングを再開しました。

これからが本番

4週間ぶりに走った一歩目は驚くほどに身体が重く、頑張っても7分/kmぐらいしかスピードが出なかったものの、とにかく気分は最高。風が身体に触れて、空気を吸い込んで、地面を踏みしめる。やっぱり走るのが大好きなんだ! そう気づかせてくれた怪我にさえ感謝しました。

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自由に駆け回る子供たち。同じ気持かもしれない

「嬉しくなって走りすぎないようにね!」、私を知る友人たちに釘を刺されまくっているのですが、まさにこれからの私の試練は「自制」です。怖いのは再発。高揚する気持ちをいかに自制して治療とリハビリとトレーニングを続けながら、これからの夏山シーズン、そして秋のトレイルシーズンに向けて本当の復活に向かうことができるか。

走れることのありがたさ、自由に動き回れるありがたさをじっくり味わいつつ、次の目標に向かいます!

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次の目標は・・・100・・・M?

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