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トップランナー | 『トレラン王国』が応援するリスペクトすべきヒーロー&ヒロインたち

第1回 山本健一さん

山本健一さん

今年の夏、フランス・シャモニーで開催された国際的なトレイルランレース『ウルトラトレイル・デュ・モンブラン』。
ヨーロッパの強豪ランナーを含む2000人を超えるビッグレースで総合8位。初めての海外レース参戦で見事な成績を収めた山本健一さん。
「レースは楽しむことがモットー」という山本さん。どんなときでもサポーターの声援に笑顔で応える彼の対応がそれを証明している。

やまもと・けんいち

1979年山梨県韮崎市出身。県立韮崎工業高校で体育教師として勤務する傍ら、グリーンシーズンはトレイルレースで活躍、冬はスキーのモーグル競技で全日本選手権にも出場するほどのアスリート。08年『第16回日本山岳耐久レース』で総合優勝をはたして臨んだ09年『ウルトラトレイル・デュ・モンブラン』において、初挑戦ながら見事8位という好成績を収める。08年『OSJ志賀高原・野反湖トレイルフェスティバル』では、3日間のレースの総合成績で競われる『キング&クイーン・オブ・志賀高原』の初代キングに輝いた。トレイルラン仲間たちからは「ヤマケン」の愛称で親しまれている。

[愛用マテリアル]

●シューズ/バスク・セレレイター
●バックパック/ホグロフス・スタミナ
●ウェア/ホグロフス
*いずれも2009年時点

ツールド・モンブランがまた一層、僕を山の虜にしてくれました

『ツールド・モンブラン』166kmのゴール目前。日の丸を掲げてシャモニーの街を凱旋する山本選手(写真=藤巻 翔)
『ツールド・モンブラン』166kmのゴール目前。日の丸を掲げてシャモニーの街を凱旋する山本選手(写真=藤巻 翔)

今年8月末、ヨーロッパアルプスの名峰モンブランを中心とした山域、周辺3カ国(フランス、イタリア、スイス)を舞台に繰り広げられたヨーロッパ最大のトレイルランレース『ウルトラトレイル・デュ・モンブラン(通称「ツールド・モンブラン」)』。全長166km、累積標高差9400mに及ぶ苛酷なレースに日本からもトップランナーが多数参加した。その中で、山本健一選手は初参加ながら24時間17分・総合8位の好成績を収めた。日本選手では、鏑木毅(3位)、横山峰弘(6位)に次ぐ日本人3番目の成績だった。
「鏑木さん、横山さんのツールド・モンブランに出ている姿を雑誌で見て、自分も出てみたいと思っていました。実際参加してみて、やっぱりけた外れに大きいレースでした。レースというよりはジャーニー(旅)という感じですね。
シャモニーの街の人々はもちろん、とにかくレース中も沿道の皆さんの声援がすごくて嬉しかったですね。子供たちもカウベル(牛の首にかける鈴)を鳴らして応援してくれました」

山本さん、憧れのヨーロッパアルプスに立つ ――――

「シャモニーは世界有数の登山の町じゃないですか。着いた時からもう舞い上がり気味で、翌朝いちばんにロープウエイでエギュードミディに登りました。グランドジョラスの北壁に圧倒させられました」
注)エギュードミディ=シャモニーの町を見下ろす標高3842mにある展望台で、モンブランやグランドジョラスなどアルプスの眺望ポイント。

序盤のアクシデント、輝くモンブラン、そして感動のゴール ――――
『志賀野反湖トレイルフェス09』では総合優勝。苦しいはずのレースでも彼は「笑顔」を忘れない(写真=花村一昇)
『志賀野反湖トレイルフェス09』では総合優勝。苦しいはずのレースでも彼は「笑顔」を忘れない(写真=花村一昇)

「フランスとイタリアの国境にあたるセーニュ峠(60km地点)の下りでクルブシを石にぶつけてしまい、かばいながら走っていたら今度は別の箇所が痛くなりだして。やはり簡単には制覇させてくれないなと、一時辛いレースを強いられましたが、サポートで現地に入ってくれた越中さん(ボディケアでお世話になっている地元富士見町のトレーナー)のケアもあって、どうにかその後も頑張ることができたと思います。
クールマイユール(イタリアの山岳リゾートでアルペンスキーの国際大会開催地としても有名)で夜明けを迎えましたが、朝日に輝くモンテビアンコ(イタリア語で「モンブラン山」の意)やグランドジョラスは印象的でした。100kmまで横山さんとフランス人のリオネル選手(総合5位)と一緒に走ってました。モンブランを見て「スッゲーキレイ」と3人で叫びながら走りました。リオネルには僕が日本語を教えました。でも、横山さんにはそこで置いていかれました。
ゴールは実に感動的でした。シャモニーの街の皆さんが総出で迎えてくれて、沿道はまさにお祭りの様。ハイタッチの嵐でした。結果はたまたま8位ということでしたが、レースをつうじて憧れのヨーロッパアルプスを満喫できたことが最高でした。ゴールしてすぐ「またシャモニーに来たい」と思いましたね。ツールド・モンブランがまた一層、僕を山の虜にしてくれました」

本職は高校の先生。生徒にアニキとして慕われる熱血教師なのだ

山本さんは信州大教育学部を卒業後、長野県で小学校の代用教員を務めたのち、5年前故郷の山梨に戻り地元韮崎工業高校の体育教師となった。現在2年4組の担任を務め、課外では山岳部の顧問と監督も兼務する。もちろん学校では教師と生徒という立場ながら、(30という年齢を感じさない)アニキのような頼れる存在、しかもサーフィン、モーグル、トレイルランを颯爽とこなす先生は、男子の憧れの的!?(編集部想像)に違いない。

スポーツは、頑張れば結果が付いてくる ――――

「生徒には毅然として対応しています。しめるところはしめ、でも授業は和やかに(笑)
僕は保健体育を担当しています。授業も部活もそうですが、スポーツは頑張れば頑張った分だけ結果が付いてくるということを体験しやすい科目なのです。ですから、まず生徒には楽しんで取り組ませてあげること、そして彼らに成果を味あわせてあげることで、勉強やこれからの人生に役立てばいいと考えています。とてもやりがいがありますよ」

山の素晴らしさを学生たちに伝えたい ――――
この日は愛車のワーゲンで登場。「もう30年モノです。たまに走らせてあげないと」
この日は愛車のワーゲンで登場。「もう30年モノです。たまに走らせてあげないと」

「先週も学生たちを連れて白馬鑓ケ岳に1泊2日のミニ合宿に行って来まして、標高 2100mの露天風呂を学生たちに体験させました。僕自身高校の山岳部に入部したことがきっかけで登山が好きになったのですが、5年前この高校に着任してきたとき、以前あった山岳部が休部になっていることを知り山岳部を復活させました。
山梨はサッカーが伝統的に人気ですか、サッカー以外にも青春を燃やすスポーツはたくさんありますよ。だから「みんな! 山登ろうぜ」って。何しろ韮崎は周囲にこんなにいい山があるのですから。
お陰様で部員も成長し、一昨年初めて山梨代表としてインターハイ(高校総体)に出場することができました。
雪山は危険なので、冬はクロスカントリースキー部に突然変異します(笑)。年末は毎年、長野県の野沢温泉で合宿をはり、県のクロカンチームと合同で練習して体力強化に励んでいます。目標はあくまで夏のインターハイ。まずは5月の県大会で優勝することです」

取材インタビュー/2009年10月25日

山本健一さんへの質問

好きな言葉・座右の銘を教えてください。

『想いは形になる』
日本一になりたくて韮崎高校山岳部に入り、結果、インターハイに優勝できたから

トレイルラン以外でいま,熱中していることは何ですか?

昨年長女が生まれたので、今は育児(小雪ちゃん)

あなたにとっての師匠は?

池田町の名塚さん。会計士でシルクロードを5年かけて走破中という凄い方ですが、僕にトレイルランの世界を教えてくれた人でもあります

ライバル・良き仲間はいますか?

松永紘明君。新潟長岡在住のトレイルランナー

自分はどんな人間だと思いますか?

「いつも楽しそうだね」ってよく言われます。実際に人生楽しんでます。唯一のストレスは学校の合宿等で家に帰れないこと

レースにおいて常に心掛けていることは何ですか?

レース前までが大切で、レースはリラックスして走るだけ。皆さんも楽しんで走りましょう!

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