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第12回 ペツル

ペツル

ハセツネやUTMFなど、夜間をまたぐレースでヘッドランプを使用する機会は増えている。もちろんレースだけでなく、明かりのない山に分け入るのだから、トレイルランナーならば標準装備として備えておきたいアイテム。今回ご紹介するのは、ヘッドランプのトップブランド『PETZL』。そのスタートは、今や世界のアルピニストたちが絶大な信頼をよせ、警察・消防のレスキュー隊にも広く採用されている登攀器具の開発から始まった。垂直の世界や暗闇の中で活動する男たちの命を守るギアだからこそ製品作りに妥協はないのだ。

そもそもペツルとは?

1930年代初頭、フランスのグルノーブルで暮らす当時17歳だったフェルナンド・ペツルはケイビング(洞窟探検)と出会いました。機械工だった彼は、当時未発達であったケイビングの世界で新しい技術を生み出すことを考え始めます。自分も含めたケイビング仲間のために、仕事が終わった後に道具やシステムの考案・製作を始めました。「次の週末に、今までアクセスできなかった巨大通路に到達するまでの難所を征服する」これが彼のモチベーションでした。
1940年代に入ると、友人のピエール・シェヴァリエと共に革新的な道具を生み出していきます。2人の出会いは大きな転機でした。2人はダン・ドゥ・クロールの地下通路の最初の17kmを探検し、深さ600mを超える世界記録をつくりました。特筆すべきは、彼らがそれまで当たり前だった固定されたハシゴではなく、ナイロン製のロープを使う新しい方法を選択したことです。フェルナンド・ペツルによる革新的な発明は他にもクライミングポール、そして数年後に生まれるアッセンダー(登高器)があります。
1950年代にはヴェルコール地方のベルジェ洞窟における国際的な調査隊のリーダーを務めました。3年で深さ1122mの新記録を樹立し、フェルナンド・ペツルの名は歴史に刻まれ、ケイビング界の伝説となりました。その後もアッセンダーやディッセンダー(制動器)の改良を続け、ついにはハシゴの必要がなくなるまでにロープ技術の完成度を高めます。そしてこの技術は、ほどなくして他のスポーツやレスキュー、産業分野に取り入れられていくことになります。
1968年、フェルナンド・ペツルは自分の工房でアッセンダーの大量生産を始めました。そして70年、息子のピエール、ポールと共に登山用品の生産も始めます。ケイビング用のライトを開発した技術を活かし、世界初の登山用ヘッドランプも創り出しました。これが、『ペツル』というブランドの冒険の始まりだったのです。
ペツルはその創設期から「ユーザーのために道具を開発する」という姿勢を貫いています。その道具は、垂直の世界や暗闇の中で活動し命を預けるためのものです。既存の道具で求められている性能を超える、革新的で使いやすく安全な道具を目指しています。ペツルの専門分野は「バーティカルスポーツ」と「ヘッドランプ」です。ペツルが開発した技術は、この2つの分野に関連するスポーツが大きく進化していくうえで重要な役割を果たしてきました。ヘッドランプやクライミングギア等、40年の歴史の中で技術革新に力を注ぐその姿勢は多くの新しいギアを生み出し、それはこれからも続きます。

ペツルの起源は創業者フェルナンド・ペツルのケイビングとの出会いによって始まる。1950年当時、世界記録に挑むフェルナンド氏
ペツルの起源は創業者フェルナンド・ペツルのケイビングとの出会いによって始まる。1950年当時、世界記録に挑むフェルナンド氏
過去に冬季五輪の開催会場にもなった風光明媚なフランス・グルノーブルに本社を構えるPETZL
過去に冬季五輪の開催会場にもなった風光明媚なフランス・グルノーブルに本社を構えるPETZL
ヘッドランプの照射性能を正確に評価するため、たゆまぬテストとデータの計測が繰り返されている
ヘッドランプの照射性能を正確に評価するため、たゆまぬテストとデータの計測が繰り返されている

ご担当の佐藤 豊さんに伺いました。

PETZLのライトはトレイルランナーの間でも高い支持を得ていますが、ペツルヘッドランプ・シリーズが支持される大きな理由は何だとお考えですか――

ヘッドランプのパイオニアとしての信頼性と、製品の使いやすさ、使用するユーザーの立場に立った製品作りが評価されていると考えています。また、積極的に参加しているレース等イベントでのランナーのサポートも、ブランドに対する安心感につながっていれば嬉しいです。

ヘッドランプはトレイルランの夜間走だけでなく、さまざまなアウトドアシーンで活用するアイテムですが、一般ユーザーがヘッドランプを選ぶうえで外せない機能や性能、購入の際の着眼点があればアドバイスいただけますか――

今日、世に出回っているランプを見ると、ブランドが違っても同じような製品を見つける事ができると思います。同じようなLEDを使用し、同じ電池を使用している事もありますが、公表されているスペックはそれぞれ違うかもしれません。実はその違いこそブランドの考え方とも言えます。
トレイルランニングで使用する場合ある程度の光量が必要になりますので、「実用最低照度」と言えるのは30ルーメン位でしょうか。下りではもう少し明るい方がいいかもしれません。しかし最大出力を大きくした製品は「実用最低照度」までの「実用時間」が短くなります。ナイトランでは、「実用時間」は重要な要素となりますので、ランプを選ぶ際には注目してほしいポイントです。
また、ランプが出す光がどのように照射されるかも注意したいポイントです。いくら明るくても、スポットで一点のみ明るかったり光のムラが出るようでは、見えにくいのはもちろん、長い行動を考えると目が疲れて精神的なダメージを受けるかもしれません。
最大出力(ルーメン)だけに目がいってしまいがちですが、以上のような「出力と時間の関係」と「光の質や特性」にも注目してみてください。

今期登場したマストモデル『NAO』が搭載する『リアクティブライティング』とはどのような機能なのでしょうか? また『OS by Petzl』と言うソフトウェアでカスタマイズが可能ということですが、具体的にどのようなものなのでしょうか――

リアクティブライティングは、簡単に言えば自動調光機能です。『NAO』の場合、明るさだけでなく配光特性もコントロールし、足元を照らした場合ワイドかつ、まぶしくないように光量を調節し、ルートの先を見ればスポットで遠くを355ルーメンの大光量で照射します。しかもその調節は瞬時に行われます。
「実用時間」の話をしましたが、通常のアルカリ電池を使用するランプの多くは、最初明るく徐々に暗くなっていきます。この場合、「実用時間」は最初の数時間ほどです。
この逆に、明るさを一定に保つ機能が「電子制御機能」です。この場合バッテリーの容量いっぱいに、同じ明るさを維持します。しかし、最大照度を求めると「実用時間」は短くなり、場合によっては、1時間も保たずにバッテリー切れしてしまうものもあります。
いかに「実用時間」を長くするか、このために明るさの調節をシーン毎にスイッチ操作する必要がありますが、それを自動で行ってくれるのがリアクティブライティングです。つまり、NAOは搭載されたセンサーで周囲の光を感知し、不要なときは照度を落としバッテリーの消費を抑えます。結果「実用時間」が長くなるという画期的な技術です。
NAOは出荷状態でも十分使えますが、OS by Petzlを使用する事により、様々なアクティビティに合わせたプロファイル、即ち、ヘッドランプの性格ともいえる性能を変更することが可能です。また、オリジナルのプロファイルの作成も可能で、2つのLEDの照射力、手元を照らした時の明るさをカスタマイズして、超高出力のヘッドランプにすることもできれば、またその逆も可能です。
NAOはリアクティブライティングモードだけでなくコンスタントモード(電子制御機能)も備えていますので、コンスタントモードの設定も同様に可能です。

へッドランプのテクノロジーはPETZLが極めたと言っても過言ではないと思うのですが、今後まだ発展の余地はあるのでしょうか、さらにバージョンアップするとしたら未来のヘッドランプはどんなものになるとお考えですか――

まずはリアクティブライティング・テクノロジーを採用したランプが増えるでしょう。
一般的な話では、LEDの性能が上がって、同じ照射時間で出力が増すでしょう。高出力LEDを使用するにはアルカリ電池の性能では不十分なので、リチウムバッテリーの使用とUSB経由の充電は、ハイエンドモデルでは普通になると思います。
ここからは個人的な夢ですが、ヘッドランプの光量設定がスマートフォンや更に進めば腕時計でできるようになり、バッテリーの残量も表示され、交換タイミングも知らせてくれる…。なんていいと思いません? 携帯電話用のモバイル電源もバッテリーとして使用できるといいですね(充電は今でもできます)。

佐藤 豊さん

佐藤 豊さん
株式会社アルテリア(ペツル総輸入販売元)の広報担当。1966年埼玉県出身。若い頃はロッククライミングに熱中し、ヨーロッパやアメリカ、国内でルート開拓。競技にも積極的に参加し、1993年度全日本チャンピオン、1998年から2002年、埼玉県代表として国体登攀4連勝。2004年からは監督として参加。近年は日本山岳協会の競技部常任委員、埼玉県の国体成年男子監督、クライミングA級ジャッジ、クライミング指導員養成の講師等を担当。冬は色々な山を滑りにでかける生粋のアウトドアマン。
今やあらゆるアウトドアスポーツシーンになくてはならいヘッドランプ。ペツルは先進の機能でユーザーの期待に応える
今やあらゆるアウトドアスポーツシーンになくてはならいヘッドランプ。ペツルは先進の機能でユーザーの期待に応える
『OS by PETZL』はユーザーがヘッドランプの性能を自分で設定できるソフトウェア。ペツルのwebサイトから無料でダウンロードできる
『OS by PETZL』はユーザーがヘッドランプの性能を自分で設定できるソフトウェア。ペツルのwebサイトから無料でダウンロードできる
UTMFでNAOを愛用する奥宮選手。トップランナーたちも絶大な信頼を寄せる
UTMFでNAOを愛用する奥宮選手。トップランナーたちも絶大な信頼を寄せる

いま、プッシュするプロダクツを3つ選んでいただきました。

SELECT1

ナオ
NAO

搭載されたテクノロジーは言うまでもありませんが、最大光量を、設定した時間のいつでも出せると言う点が大きなメリットです。その明るさは特に下りでのアドバンテージになります。ソフトウェアで自分仕様のランプに仕上げる事ができるのも魅力です。

ナオ

■最大ルーメン値:355ルーメン
■最長の照射時間:8時間(*照射時間は使用状況によって変わります)
■最長の照射距離:108m
■照射レベル:リアクティブレベル1・2/コンスタントレベル1・2
■ビームパターン:ワイド/スポット
■重量(電池含む): 187g
■防水レベル:全天候型IPX4
■電池:リチウムイオン充電池
■バルブ/LED:ハイアウトプットLED×2
■価格:21,000円(税込)

SELECT2

イーライト
E-Light

コンパクトで邪魔にならず、スペアライトとして最適です。巻き取り式リールによって様々なところに取り付ける事ができ、非常用シグナルとしても使用できます。

イーライト

■最大ルーメン値:26ルーメン
■最長の照射時間:70時間
■最長の照射距離:29m
■照射レベル:最大/エコノミー/赤色点滅
■ビームパターン:ワイド
■重量(電池含む): 27g
■防水レベル:1m防水IP67
■電池:リチウム電池CR2032×2
■バルブ/LED:5mm砲弾型LED×3、赤色LED×1
■価格:3,885円(税込)

SELECT3

ミオRXP
MYO RXP

ワイドアングルレンズによりスポットとワイドの切り替えが速やかにできます。照射レベルは10段階から選べ、レベル1〜8までは電子制御機能により明るさを維持できますので、スペアバッテリーのプランニングがしやすいです。なにより、ロングセラーの信頼性が売りです。

ミオRXP

■最大ルーメン値:205ルーメン
■最長の照射時間:86時間
■最長の照射距離:90m
■照射レベル:プログラムno.1~10/ブースト
■ビームパターン:ワイド/スポット
■重量(電池含む): 175g
■防水レベル:全天候型IPX4
■電池:単3アルカリ電池×3
■バルブ/LED:ハイアウトプットLED
■価格:11,445円(税込)

商品に関する詳しい情報:アルテリア

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