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トレランギア | トレラン王国がチョイスした「優れたるプロダクツ」

第2回 ALTRA  ローンピーク 2.0

ALTRA  ローンピーク 2.0

カカトが高いソールのシューズで走ると着地する際、ヒールストライクになりやすくなります。その結果、着地の衝撃が上手く吸収できず脚の障害を引き起こす原因となっています。もし車やバイクにサスペンションが無かったら? 地面からの衝撃が強すぎて車体へ大きなダメージを受ける事は容易に想像できますが、ヒールストライク走法ではそれと近い状態が身体で起こっているのです。
自身がウルトラランナーであるALTRA創設者のゴールデン・ハーパー氏は、たくさんのショック吸収性能を売りにしたシューズが販売されているにもかかわらず、一向に脚の障害を抱えるランナーが後を絶たない原因がヒールストライク走法にある事だとわかり、その問題を解決するためにシューズ開発に着手しました。その結果誕生したのがALTRAのゼロドロップシューズです。
そんなALTRAのブランド発足当初からの看板商品と言えるローンピークが今秋『ローンピーク2.0』へとモデルチェンジされ、早速フィールドテストをしてきました。

Round up ――どんなモデル?

ゼロドロップシューズとは、つま先とカカトの高さの差を0mmにしたフラットなソールのシューズを指します。つまり、シューズを履いても裸足に近い状態になります。いまこの場で裸足で走ればわかるのですが、ほとんどの人がカカトから着地せず、フォアフットかフラット着地になるはずです。本来人間は身体の真下に足を着地して、ヒザや各関節で着地時の大きな衝撃を緩和するように出来ているのです。しかし、現代社会では裸足で走れる環境は限られているので、足をシューズで保護しつつ、裸足と同じ状態を作り出してナチュラルなランニングフォームへ導くのがゼロドロップシューズの狙いです。
ローンピークは100マイルレースを走破するための強度と、長時間行動でも快適に履き続けられる快適さを保つことをコンセプトに「最強のウルトラトレイルシューズ」として開発されたALTRAゼロドップシューズです。そして、そのナチュラルな履き心地の良さが話題となってトレイルランナーだけではなく、縦走で長時間行動をするハイカー達にも愛用者が多いのも他のトレイルランシューズと異なる点と言えます。
今回メジャーアップデートされたローンピーク 2.0は初代ローンピーク 1や前モデルのローンピーク 1.5から続くフット・シェープ・デザイン(足の形をしたデザイン)と、ゼロドロップソールという2つの大きな特徴はそのまま継承されていますが、よく見るとソールは1から設計が見直されており、軽量化のために細部が変更されています。

■『ローンピーク2.0M』主要スペック
用途: トレイルラン、ハイキング、ファストパッキング、トレイルレーシング
ラスト: SD5-M
スタックハイト: 26mm
ミッドソール: デュアルレイヤーEVA / A-BOUND
アウトソール: スティッキーラバー・トレイルクロウ
インソール: 5mmコンツアー
アッパー: クイックドライ・トレイル・メッシュ
重さ: 323グラム (10.5インチ)
製品概要:ロッキー山脈の中でも過酷なワサッチレンジを100マイル走りきる為にデザインされたこのシューズが、アップデートされて生まれ変わります。グリップパターンを変更し、360度のトラクションを実現し、安全性も向上しました。最も際立つ変更点はミッドソールに埋め込まれた「ロックプレート」の外側部を露出させた事で、鋭角に足部接地した時に起こるソールの沈み込み抑制する事で、不安定な路面状況でも高い安定性を実現しました。(メーカー)

0(ゼロ)ドロップ。つまり素足で地面に立っている感覚を実現したシューズなのだ
0(ゼロ)ドロップ。つまり素足で地面に立っている感覚を実現したシューズなのだ
つま先のデザインに注目したい。ALTRAは足指の機能を阻害しないよう独自のラウンド形状にを採用している
つま先のデザインに注目したい。ALTRAは足指の機能を阻害しないよう独自のラウンド形状にを採用している
夏から秋にかけて、さまざまなシチュエーションで試履きをしてみた(八ケ岳・赤岳山頂にて)
夏から秋にかけて、さまざまなシチュエーションで試履きをしてみた(八ケ岳・赤岳山頂にて)

impresstion ――試履きしてみた

■フィッティングとアジャスト

ローンピーク2.0ではシューレースを締めることで中足部を左右からホールドするギミックが加わり、よりスピーディーかつ均等な圧力でアジャストしやすくなっています。レース中ではシューレースの締め加減に少しでも違和感があると気になるものですが、この機構によって素早くベストな加減で締めることができるのはありがたいです。

また、つま先のトゥーガードが今モデルから圧着式に変更となり、足先の自由度が増すだけでなく軽量化にも貢献しています。ではそれによって、トゥーガード性能が弱くなったのでは? と思われるかもしれませんが、よく見るとソール先端がつま先より数mm前に出ているので、つま先に障害物がダイレクトに当たらないようになっています。このシューズで既に100km以上トレイルを走って何度も足を根や石にひっかける場面がありましたが、痛みを感じる事は無く、実はこれだけの事でつま先の当たりを防げたのかと目から鱗でした。

■ランニング&ハイクでのフィーリング

「トレイルランニング・モデルとして」

ローンピーク2.0ではアッパー素材が一段と引き締まった素材に変更され、先に述べた中足部のホールド機能で安定感が向上しているので、足先の快適な空間はそのままに、走った際の横ブレを大きく軽減させることに成功しています。

トレイルランニングで最も神経質になる路面は、突き上げの多い岩場と雨で滑りやすいトレイルですが、今回テストした森林限界近くのごつごつした岩場では、今回新たに採用されたソールの間に挟まれた「ロックプレート」効果によって突き上げを意識することが無かったです。そして濡れた路面では、クライミングシューズでも使用されているスティッキーラバーを使用した新しいソールパターンに変更されており、全方位にグリップ効果が発揮されていて、濡れた路面でも安定感のある高いグリップ性能が確認できました。しかし、スティッキーラバーはグリップ力が高い分ソールが減りやすいというトレードオフがあり、トレイル以外の路面で普段履きをしてしまうとソールの摩耗を早めてしまいます。履き心地が楽なのでつい普段履きしたくなりますが、その点は注意をした方が良いでしょう。

「ハイキング・モデルとして」

今回のような重い荷物を持った時はソールの厚いシューズだとソールの沈み込みが激しく歩きにくく感じるもので、その点が履く前の懸念点でしたが、ローンピーク2.0のソールの硬さは柔らか過ぎず、テントやシュラフを入れた重いパックを背負っていても沈み込みを意識せず快適に歩くことができました。今回インソールを抜いてのテストも同時におこないましたが、もしローンピーク1.5寄りのダイレクトな接地感を求めるなら状況に合せてインソールを抜いても良いでしょう。そして前モデル、ローンピーク1.5でハイカーに好評だったゲイター留め(GAITER TRAP)もあります。

そして、雨天で水たまりの多数あるトレイルを走りましたが、アッパー素材の透湿性と水抜けの良さを確認できました。ちなみにソックスはdrymaxを履いていましたが、このソックスとの相性はとても良いと思います。

■最適対象者とシチュエーション

今回大幅に改良されたソールによって、神経質に足置きを気にせずガンガン走れてしまう走破性の高さは初心者に嬉しいだけではなく、長距離レースに出る程の中級者以上の人にはレース後半に疲労で集中力が低下している状況でその恩恵を受けられでしょう。また、テント泊装備を背負った5kg前後のファストパッキングでは荷物の加重によるソールの沈み込みが少ないので、ハイカーにもおすすめできます。ちなみに私はこのシューズで1泊装備を背負って走るOMM JAPANに出場予定です。

■総合評価

これまでのローンピーク・シリーズでは、ナチュラルな履き心地を優先する設計であったため、速度を上げるとシューズ内で足がブレやすいというデメリットがありましたが、今回加わった甲の部分をホールドする機能が加わって、

「ナチュラルな履き心地と、ブレにくいフィット感」

を併せ持った、これまで抱えていた矛盾を見事に解決したイイとこどりのシューズに進化しました。

長距離のトレイルレースにおいて記録を狙う場合、速度より低速でも一定の速度で最初から最後までムラ無く淡々と走りきる事が結果的に記録向上につながります。そのため、いかに脚にトラブルを起こさないで走りきるか?が記録向上に不可欠な要素となります。つまり、このローンピーク2.0は長距離を走ってもゼロドロップソールによるナチュラルランニングフォームで脚への障害を抑えることができ、フィット感の向上によって速度も上げやすくなっており、その時のコンディションに合わせて走行スタイルを変えられる、

「攻めのウルトラトレイルシューズ」

になったと言えます。

ナチュラルランニングに興味がある方や、膝の痛みがなかなか改善しないという方は、取り扱い店舗やALTRA JAPANでは試し履きイベントを積極的におこなっているので、そういった機会を利用して是非実際に履いてみることをオススメします。

解説=千田 誠(トレラン王国ナビゲーター)

解説=千田 誠(トレラン王国ナビゲーター)
レアなヒットプロダクツを先取りするリサーチ力に長け、自らも数々のマウンテンギアをテスト&愛用するギア・アナリスト。『トレラン王国』では、専門誌『J-TRAIL』のギアキュレーターやパック&ベストのテスターとして活躍。主に100km以上のロングレースを好むウルトラランナーでもあり、2013シーズンは『UTMF』『UTMB』をW走破。
何気なく歩いている時の1枚だが、無意識にフォアフットになっているのがわかる(東京世田谷め砧公園にて)
何気なく歩いている時の1枚だが、無意識にフォアフットになっているのがわかる(東京世田谷め砧公園にて)
八ケ岳・観音平~権現岳を目指す途中。南アルプスを望む
八ケ岳・観音平~権現岳を目指す途中。南アルプスを望む
ミッドソールの着地感覚は最適。岩場での突き上げ感もなく快適だ( 赤岳山頂直下の岩稜帯を進む)
ミッドソールの着地感覚は最適。岩場での突き上げ感もなく快適だ( 赤岳山頂直下の岩稜帯を進む)

編集部がプッシュするアザーモデル

SELECT1

パラダイムM
Paradigm M  

ウルトラマラソンのような長距離のレースや、LSD (Long Slow Distance)の様な長時間のベーストレーニング時の足裏の刺激を最小限に抑えたい時に最適です。クッション性を高めながらも軽量で、ランニングフォームをゆがめる事の無いデザインになっています。(メーカー)
トレイルとロード両対応のMIXモデル。軽量性とクッション性の両方を備えている。(千田)

パラダイムM

用途: ランニング、トレイルランニング、クロスフィット
ラスト: SD5-M
スタックハイト: 34mm
ミッドソール: デュアルレイヤーEVA / A-BOUND
アウトソール: メタポッド
インソール: 5mmコンツアー・スカルプテッド
アッパー: クイックドライ・エアメッシュ
重さ: 297グラム (10.5インチ)

SELECT2

オリンパスM
Olympus M

オリンパスは、どのような過酷な環境においても、永遠に走っていられるくらい「頑丈」で「心地良い」デザインになっています。ゼロドロップでワイドなトゥーボックスというアルトラ独自の特徴をそのままマックスクッションで楽しむ事ができます。
過酷な環境の中を昼夜問わず走り続ける「ウルトラトレイル・マラソン」を始め、長距離のスルーハイキングなどのエクストリームスポーツに最適です。(メーカー)
ラインナップ中最も厚いクッションソールを誇るモデル。特に、林道、アスファルトの路面が固いセクションが多いロングレースにおすすめ。ソールのローリング効果で登りが楽になる。(千田)

オリンパスM

用途: トレイルラン、ファストパッキング、ハイキング、ウルトラマラソン
ラスト: SD5-M
スタックハイト: 36mm
ミッドソール: デュアルレイヤーEVA / A-BOUND
アウトソール: トレールスペシフィック・スティッキーラバー
インソール: 5mmコンツアー・フットベッド
アッパー: クイックドライ・トレイルメッシュ
重さ: 345グラム (10.5インチ)

SELECT3

インスティクト2.0
ALTRA Instinct 2.0

アルトラ独自のAバウンドクッションをさらに強化し、今まで以上の「履きやすさ」を求めました。アウトソールはクッション性と安定性の向上という2つの対局にある特徴をバランスよく強調するために、アーチ部分に「フットポッド・システム」を追加しました。プラットフォーム自体は今までの受賞モデル「インスティンクトシリーズ」のままに、さらにオールラウンドな使い方に対応できるようになりました。(メーカー)
アルトラ独自のAバウンドクッションをさらに強化し、前モデルInstinct 1.5以上にクッション性と安定性が向上されている。普段のロード練習ではこちらを履き、トレイルではLOANPEAK2.0を履きわけるとフォーム矯正がしやすい。(千田)

インスティクト2.0

用途: クロスカントリー、ロードレース、クロスフィット
ラスト: SD5-M
スタックハイト: 26mm
ミッドソール: デュアルレイヤーEVA / A-BOUND
アウトソール: フットポッド
インソール: 5mmコンツアー・フットベッド
アッパー: クイックドライ・メッシュ
重さ: 309グラム (10.5インチ)

商品に関する詳しい情報:アルトラHP

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