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レースレポート Vol.5 | 第2回ハセツネ30K

春の到来はまだ遠い寒気の中、ハートは2010シーズンモードへ突入

首都圏の桜が開花を始めた4月4日(日)、東京・奥多摩山域(あきる野市・八王子市・檜原村)で『第2回 ハセツネ30K』が開催された。当日はあいにくの曇天。冬へ舞い戻ってしまったかのような肌寒い日。参加選手はコンディションの調整が難しかったと思われるが、朝7時にはスタート会場となった「五日市青少年旅行村」にランナーが続々と集まりだしてウォーミングアップを開始した。

今大会からコースが変更された。大きな変更点はスタート直後にある。秋川を渡り、いったん五日市市街地に出て国道を2kmほど走り、ひとつ上流に架かる沢度橋を渡り、林道刈寄線(舗装路)を詰めて刈寄山に至るというもの。山道への取り付きまでは5km近いロードランとなるため、32kmコース参加者は中盤以降の入山峠~篠窪峠仮設登山口の林道を含め、全コースの4割程度が舗装路となるコース。トレイルとロードの混合レースは参加選手の得意不得意、戦術にも影響したようだ。

9:00スタート。市街の街道を先導する白バイとともにハイスピードで駆けるトップグループの姿はさながら公認ロードレース。20分以上の時間をかけて、大集団は五日市を後にした。
最初のピーク、刈寄山(標高687m)の山頂直下の登りは前半の難所。山頂に近づくほど急勾配となるシングルトラックは立ち止まるスペースも少なく、後方の選手に追い立てられるように、休むことなく無理を覚悟で登りきらなければならない。山頂には東屋があり後方には五日市の街が臨めるが、選手は誰ひとり振り返る余裕などない。
ここから入山峠へ一気に駆け下り、峠からは長い林道を醍醐川の合流まで下り、そこから篠窪峠仮設登山口まで登り返す、まさにジェットコースターのようなコース。下りの林道でスピードを出し過ぎれば、その後の登り返しでアップアップになってしまうので要注意なランだ。
17kmコースは下りの林道途中から峰見通り(尾根)にとりつき折り返すため、トッキリ場への最後の登りが勝負どころ。
篠窪峠から本コース最高地点(810m)となる醍醐丸直下に到達すると吊尾根~峰見通りと、ハセツネCUP本戦のコースに出る。ここが32kmの折り返し地点。今熊山までは本戦と逆のルートをとる。ここからゴールまではほぼ全行程がトレイル。後半戦の第2ステージがここから始まる。

細かいアップダウンが繰り返す尾根のトレイルが約10km続く。トレイルランナーの本領を発揮するステージだ。下り基調のコースは上りへの体力配分が難しいが、下りが得意な選手にはスピードを生かせる。トップグループはバトルを展開し、目標設定したランナーたちはひたむきにゴールを目指す。

公道を一部使用した本大会は白バイが選手を先導
公道を一部使用した本大会は白バイが選手を先導
五日市市街を走る大集団。前半はロードとの相性が課題となる約4kmの舗装路
五日市市街を走る大集団。前半はロードとの相性が課題となる約4kmの舗装路
林道が間もなく終了しいよいよ登山道。それにしても凄い渋滞
林道が間もなく終了しいよいよ登山道。それにしても凄い渋滞
前半の難所・刈寄山頂直下の登り。ここまで標高差450mの登り。まもなくピーク
前半の難所・刈寄山頂直下の登り。ここまで標高差450mの登り。まもなくピーク
吊尾根までトップを走った前年覇者の奥宮選手。ピッタリ食らいつくのは2位になった菊嶋選手
吊尾根までトップを走った前年覇者の奥宮選手。ピッタリ食らいつくのは2位になった菊嶋選手
醍醐丸~市道山をつなぐ吊尾根。後続の選手はまだまだ続きます
醍醐丸~市道山をつなぐ吊尾根。後続の選手はまだまだ続きます
女子トップでやって来たのは今泉選手。まだまだ余裕ありといった表情
女子トップでやって来たのは今泉選手。まだまだ余裕ありといった表情
春の嵐の影響で倒木を飛び越えるテクニカル? なポイントもあり
春の嵐の影響で倒木を飛び越えるテクニカル? なポイントもあり

『チーム山梨』が1,2,3フィニッシュ。女子はトライアスリートの今泉選手が独走

32kmの部、レースは昨年の覇者・奥宮俊祐選手(大宮自衛隊)が峰見通り中盤までトップをリードする形で展開していたが、後続につく菊嶋啓選手(自衛隊富士駐屯地/総合2 位)が奥宮選手を20km過ぎで捉えトップにたった。さらに後方から追ってきた加藤淳一選手(フリー/総合1位)が二人を捉えて一気に抜き去った。加藤選手は昨年のハセツネ30Kでも奥宮選手と終盤まで争い2位になった実力者。昨年は奥宮選手に中盤で抜かれたが、今年はまったく逆の展開となった。
静かにフィニッシュラインを通過して余韻にひたる加藤選手。その後続いたのは菊嶋選手、3位に小川壮太選手。小川選手はある事実を知って雄叫びをあげた。
なぜなら上位を独占したのは、ともにこの日、山梨からハセツネ30Kにやってきた親友。学生時代から長距離走で凌ぎを削ってきたライバルでもある。1、2、3フィニッシュを飾り、即席で「チーム山梨」と命名された。余談として3人は甲府市のスポーツショップ『エルク』に集まる地元ランナー。ハセツネ16回大会優勝の山本健一さんも友人で年代も一緒。先んじてトップランナーとして君臨する彼から、3人は刺激を受けているとか。

女子はトライアスリートの国際大会でも活躍する今泉奈緒美選手(湘南ベルマーレ)。終始独走し2位以下の選手を大きく引き離して格の違いを見せつけた。昨年7月「OSJ志賀野反トレイルフェスティバル」(3連戦)で初代女王に輝いた今泉選手だが、10月の ハセツネCUPでは終盤で失速し満足のいくレースができなかった。本戦の前哨戦ともいえるこのレースを制し、今泉選手の今シーズンは最高の結果で幕を開けた。

32kmの部1位でフィニッシュしたのは加藤淳一選手。昨年の同大会も2位という実力者
32kmの部1位でフィニッシュしたのは加藤淳一選手。昨年の同大会も2位という実力者
表彰式会場。メーカーやショップのブースが所狭しと並びます
表彰式会場。メーカーやショップのブースが所狭しと並びます
参加賞のひとつ五日市名産の「のらぼう菜」。甘みのあるホウレン草のような野菜とか
参加賞のひとつ五日市名産の「のらぼう菜」。甘みのあるホウレン草のような野菜とか

今大会は、男性女性を各クラスとも、これまで上位にあまり名前が挙がることの無かった新進気鋭のランナーたちがポディウムに立った。また、参加選手の平均年齢(正確なデータ不明)も明らかに下がったのではないか。特に男子17km、32kmともに20歳代の参加者が拡大していることがまさにそれを証明している。どちらかというとこれまで30後半~40歳代で占められていたトレイルランの市場に、若いランナーが参入してくる流れが徐々に進行している。「チャレンジ」という言葉を素直に使いにくくなってしまった現代日本。トレイルランレースは身近にある恰好の自己挑戦の舞台なのだ。

最後に、今大会は観戦者の立場で残念なことがふたつあった。
32km、17kmコースともに水2L以上の装備や防寒具の装備がルールとなっていたが、携行しているのだろうか? という選手もちらほら。これはレギュレーションを遵守している選手は釈然としない問題だと思う。水に関しては個人差が大きいが、17kmと32kmでは携帯量に差があってもよかったような気がするし、自己管理という言う点では推奨でもよかったのではないだろうか。
また、32kmコースのトップ選手のフィニッシュが、ゴールエリアで待つ観客・サポーターに解かりにくかったこと。そのため、優勝選手のゴールの歓喜の盛り上がりはいまひとつ。これは17kmと32kmの選手の同一のゴールに入ってくるためで、ゼッケンカラーによるクラス分けは観客には理解されていなかったようだ。選手にとっては成績を左右するものではないし、あくまで競技会なので過剰な演出の必要はないが、観戦者へのサービスとして選手の到着を知らせるMC(会場アナウンス)があればよかったと思う。

レポート=『トレラン王国』編集部

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大会公式サイト

仲間は勇気を与えてくれるし、互いの励みになります。今大会はチーム参加が目立ちました。上から「チーム山梨」「チームサロモン」「チーム湘南ベルマーレ」「チーム原始人RS」
仲間は勇気を与えてくれるし、互いの励みになります。今大会はチーム参加が目立ちました。上から「チーム山梨」「チームサロモン」「チーム湘南ベルマーレ」「チーム原始人RS」
32kmの部の制限時間6時間30分を8秒過ぎてフィニッシュする完走者。あなたは十分頑張った!!
32kmの部の制限時間6時間30分を8秒過ぎてフィニッシュする完走者。あなたは十分頑張った!!
気がついた方は少ないでしょうが。会場の「青少年旅行村」には清らかな秋川が流れます。春の訪れまではまだ少し…
気がついた方は少ないでしょうが。会場の「青少年旅行村」には清らかな秋川が流れます。春の訪れまではまだ少し…
レースDATA
dot_bule開催日

2010年4月4日(日)、スタート午前9:00

dot_bule距離・クラス

32km、17km

dot_bule制限時間

スタート後6時間30分(32km)、3時間30分(17km)

dot_bule高低差

625m(醍醐丸直下810m-青年旅行村185m)

dot_bule参加数

32kmコース1095名 17kmコース446名

dot_bule完走率

32kmコース 93%(完走1015/出走1095名)
17kmコース 92%(完走411/出走446名) 

dot_buleコースレコード(男/女)

32kmコース 加藤淳一2:35:51/今泉奈緒美3:24:06
17kmコース 山下慎一郎1:33:40/原 朋子 2:01:38

dot_bule主催

(社)東京都山岳連盟

dot_bule大会HP

http://www.hasetsune.com/

ランナーズVoice

  • 加藤淳一選手

    加藤淳一選手(32km男子1位)

    昨年の同大会では中盤に奥宮選手(総合優勝)にかわされた加藤さん。
    「素直に嬉しいです。昨年2位の悔しさを晴らそうと今年は狙っていました。ロードでは奥宮さんに先行されましたが、なんとか先頭の二人に吊尾根で追いつくことができました。上位のペースが落ち始めていたので自然と前に。そこからはロングスパートしました」

  • 今泉奈緒美選手

    今泉奈緒美選手(32km女子1位)

    トレイルレースにも類まれな走力を発揮するトライアスロン界のヒロイン。
    「シーズンに向けてトライアスロンのトレーニングを始めていますので。今は心肺能力がとてもいい状態。楽しく走れました。来週は北九州のレースに出ます。今から楽しみです。ハセツネの本戦ですか? まだわかりませんが、今年はひとつひとつステップアップしていきたいと思います」

  • 山下慎一郎選手

    山下慎一郎選手(17km男子1位)

    5回目のレースでタイトルホルダー。普段はシステムエンジニアの山下さん。
    「大学でトライアスロンをやっていました。今回の登りではバイクで鍛えた脚力が生かせました。順位は気にしていなかったのですが、入山峠でトップと聞かされて驚きました。次回は富士忍野高原の21kmに出ます」

  • 菊嶋 啓選手

    菊嶋 啓選手(32km男子2位)

    優勝した加藤さんとは学生時代からの友人。中央大学陸上部(中長)出身の自衛官。
    「加藤さんに誘われて初めてトレイルレースに出ました。ある程度上位は狙っていましたがまさか2位になれるとは…。ロードが長かったので自分には有利でした」

  • 小川壮太選手

    小川壮太選手(32km男子3位)

    地元山梨のヒーロー山本健一氏に触発されてトレランにドップリ。本業は小学校の先生。
    「全国的にもメジャーなこの大会で自分の実力を試すためにやってきました。冬はクロカンをやっていますが、今年はトレイルランにも力を入れたいので、スキーシーズンが終わっても走り込みを続けています。今回は思いどおりのレースが出来たと思います」

  • 浦野裕之選手

    浦野裕之選手(32km男子6位)

    長野県飯山市出身。小学校から日体大まで12年間クロスカントリースキー選手として活動。
    「大学時代から富士登山競走や北丹沢などに出ていました。今は『インサイドアウト』のメンバーとして冬はスキーアーチェリー、グリーンシーズンはトレイルランを。トレイルレースは体力・技術はもちろん、戦術、マテリアルなど奥が深く実に面白いスポーツですね」

  • 小出 徹選手

    小出 徹選手(32km男子7位)

    6位の浦野選手とは故郷飯山の同級生。04年の箱根駅伝7区で区間賞獲得経験もあるエリートランナー。
    「『インサイドアウト』の仲間たちから誘われ昨年(09年)から本格的にトレイルランを始めました。トレイルランはいいですね。ロードのレースにないアットホームな雰囲気がある。コースは厳しいですが克服した喜びはとても大きい。昨年のOSJ志賀50Kでは、余りの感動で泣きながらゴールしたほどです(笑)」

  • 上宮逸子選手

    上宮逸子選手(32km女子8位[30代1位])

    スポーツキャスターの水野裕子さん似の上宮さん。京女、日体大出身、仙台から参加。
    「実業団まで15年間バトミントンをやっていました。トレイルランは昨年石川さんのハッピートレイルに参加してからハマりました。ロードレースは好きじゃないので早く山に入らないかなと考えながら走っていました(笑)。10月の本戦にも出たいなと思っています。また上京します」

  • 大森美緒選手

    大森美緒選手(32km女子7位[20代1位])

    山梨の富士吉田市でスポーツジムのインストラクターをしている大森さん。
    「学生時代はソフトボールをしていて、どちらかと言うと短距離走が得意で長距離は苦手でした。でも昨年11月の本栖湖であったレースで1位になり、少し自信になったかも。32kmは長かったけど、下りが気持ちよかったです」

コースマップ

コースマップ

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