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レースレポート Vol.6 | 第2回道志村トレイルレース

トップランナー集結。五月晴れの道志村で今年もタフなレースが展開

山梨県南東部と神奈川県の県境、丹沢山系の北側を流れる道志川は相模湾に流れる一級河川・相模川の源流のひとつ。夏はホタルが飛び交う美しい清流だ。この道志川を挟んで南の丹沢、北に道志山脈が連なる豊かな自然の中に道志村はある。
道志川にはさらに山間からいくつもの支流が注ぎ込み、沢沿いにはキャンプ場が点在する。ここをベースキャンプにして周辺の山へトレランに出かける。近くには道志の湯や産直野菜を販売する道の駅もある。道志村ならではのトレランツアーはおすすめだ。
5月16日(日)、この道志村を舞台に『第2回道志村トレイルレース』が開催された。昨年は雨天の中、完走率30%の苛酷なレースとなった同大会だったが、今年は穏やかな五月晴れ。スタート会場の道志中学からは、いまだ真っ白に雪をかぶった富士山が頭を見せる。今日は何度、富士山を見ることになるのだろう。

スタート(ゴール)会場となった村民グラウンド。午前7時、765名(ロング、ハーフ同時スタート)の集団が、アンダーアーマーの巨大なゲートをくぐって道志山脈へ向けて出発した。選手たちの表情はけっして険しくはない。しかし、穏やかでもなさそうだ。背後に連なる山脈を見ればわかる。誰もがこの先に待ち受けるであろう苛酷なレースを予感しての旅立ち。

今大会は昨年の完走率を踏まえ、第2関門の制限時間が30分プラス(7時間30分に)され、コースの一部変更により総距離は2km短縮され41.3kmになった。また、新たにハーフコース(20.2km)のクラスができた。トレイルランナーの間でも本格派のコースとして話題に挙がっていた道志村トレイル。果たして今年のレース完走率はどこまで上がるだろう。

41kmロングコースは前半が北側に連なる道志山脈の縦走、西のはずれ山伏峠の第1関門をクリアし(ハーフコースはここがゴール)、後半は谷を挟んで反対側の丹沢山脈を経由して戻る周回コース。山伏峠を挟んで2つのステージからなるこのコース、前半は御正体山(標高1681m)を最高地とする複数のピークの連続するコース。5月の新緑はこれぞトレイルランというほど気分がいいが、スタートからブドウ岩の頭までの林道をやっと詰めたと思った矢先の果てしない縦走路。その後、果てしなく続くアップダウンをまともに攻めるとかなりしんどい。
ハイライトは御正体山から山伏峠への下りだろう。コース上から幾度となく正面に垣間見る雄大な富士山は酷使した太腿の疲労を一時忘れさせてくれる。しかし、山場はこの後に控えているのだ。
山伏峠からの後半ルートは、前半ほどきつい登りはなくなるが、最高地点、標高1379mの孤釣山を過ぎ、ここから一端麓へ下山。道志の森キャンプ場を抜け、道志川沿いの第2関門(約700m)まで下り水分補給をすると、そこから再び眼前に待ち受ける鳥ノ胸山(1207m)を越えてゴールを目指すという、ジェットコースターのようなコース設定。誠のトレイルランナー魂を試されるラスト10kmだ。
この第2関門の制限時間がスタート後7時間30分。午後2時30分までに到着すれば最後のピークへの挑戦権が与えられるのだが、ここまで体力を温存できなかったランナーたちは、この最後登りを前にして思わず座り込んでしまう。このタフなコースを制覇するには、それ相応の体力はもちろん、折れないハートが必要。

午前7:00。765名のアスリートたちが一斉にスタート
午前7:00。765名のアスリートたちが一斉にスタート
村の中心地から望む前半コースの山並。奥に見えるのが御正体山
村の中心地から望む前半コースの山並。奥に見えるのが御正体山
道坂峠あたり。ブナやコナラの森を軽快に走る選手。まだ始まったばかり
道坂峠あたり。ブナやコナラの森を軽快に走る選手。まだ始まったばかり
第1関門(山伏峠)に上位3選手が集結。レースの行方はまだ見えない
第1関門(山伏峠)に上位3選手が集結。レースの行方はまだ見えない
昨年の同大会を制した尾崎選手は今年はハーフで独走
昨年の同大会を制した尾崎選手は今年はハーフで独走
後半までレースをリードした平澤選手。跳ねるようなリズムを感じる力強い走りだ
後半までレースをリードした平澤選手。跳ねるようなリズムを感じる力強い走りだ
8ヶ月ぶりの本格的レース参戦という間瀬選手。笑顔で久しぶりのレースを楽しんでいた
8ヶ月ぶりの本格的レース参戦という間瀬選手。笑顔で久しぶりのレースを楽しんでいた
男子顔負けの力強いステップで坂を下る坂根選手。走りは衰えず見事女子総合2位になった
男子顔負けの力強いステップで坂を下る坂根選手。走りは衰えず見事女子総合2位になった

ロングコースは上位3名によるバトル。制したのは…

8時17分。前半の中継地・道坂峠でトップグループの通過を待った。トップでやってきたのは、昨年の同大会優勝者、尾崎友和選手(滝ヶ原自衛隊)。彼は今年の初戦ということでハーフにエントリー。3分遅れてロングの選手が森の向こうから登場。リーダーは平澤賢市選手。地元諏訪湖周回でトレーニングを続け、ロード、トレイル含めて年間40レースに出場するというサラリーマンだ。2位には地元山梨の小学校教師小川壮太選手がつける。4月のハセツネ30Kでも3位に入賞した新鋭。そして3位には望月将悟選手。望月選手は静岡市の消防官、国内の数多くのトレイルランレースで優勝経験を誇るトップランナー。その間のタイム差は4分。給水所での水分補給もほどほどに次々と飛び出していく。ハーフの選手を数名挟み、さらに4分遅れて森岡光夫選手、山本健一選手が給水所に到着。いずれもお馴染みのトップランナーたち。

9時32分。第1関門山伏峠。尾崎選手がトップでハーフフィニッシュ。5分後に前述の3名がまとまってやってきた。ハーフの尾崎選手と遜色ないペース。体力は最後まで持続できるのだろうか。
山伏峠から少し登った大棚ノ頭から富士山と山中湖がよく見えるビューポイント。そう、この峠の向こうは富士山麓なのだ。

10時45分。道志の森キャンプ場。トップを望月選手が奪っていた。ところがその後ろ50mに平澤選手がピタリと付ける。ペースは一向に衰えていない。フルマラソン並みのペースであっというまに林道の向こうに消えていった。追う方も苦しいが、追われる方も苦しい。
5分後に小川選手が通過。その表情はやや苦しそうだが食らいつこうという気迫が伝わってくる。そして、山本選手がいつものように笑顔で通過。後半に強いヤマケンの追い上げはあるのか。
ここまで30km。その強靭なスタミナもさることながら、トップの選手たちのメンタルの強さを改めて感じさせられる。

大棚ノ頭から眺める富士山。ここまでくると山中湖もすぐそこ
大棚ノ頭から眺める富士山。ここまでくると山中湖もすぐそこ
村の青年たちによる正しいルート案内
村の青年たちによる正しいルート案内
道志の森キャンプ場に下ってきた望月選手と平澤選手。その差は約5秒
道志の森キャンプ場に下ってきた望月選手と平澤選手。その差は約5秒

12時00分。村民グラウンド。会場アナウンスでコールされたのは望月選手。5時間03分13秒。まだ余力を残すかのように彼は満面の笑顔でフィニッシュテープを切った。2位の平澤選手は8分遅れてフィニッシュ。今大会の優勝タイムはかなりハイレベルなのではないだろうか。
ゴールでは昨年のハセツネをともに走り抜いた、チームメンバーの後藤豊氏(ハセツネCUP個人総合チャンピオン)がハイタッチで出迎えた。
女子は6時間06分35秒(総合1位)で間瀬ちがや選手がトップでゴール。本格的なレースは8カ月ぶりといいながらも貫禄のレース展開だった。
つぎつぎとゴールに帰還する選手。その額にはふきだした汗が乾いて塩がこびりついている。強い日差しで火照ったほっぺたが真っ赤。女子選手もたくましくてカッコいい。賑わうテントでは、地元のお母さんたちの心こもったうどんをほおばりながら、選手たち各々のレース談義に笑顔が溢れる。

14時15分。第2関門を制限時間の15分前に通過。鳥ノ胸山を目指す男性。
「昨年は第一関門(山伏峠)であえなくリタイアしました。今年はリベンジ。この関門を通過することが最初の挑戦。なんとかクリアできました(笑)。これから2時間半でゴールを目指します。ゴールできれば道志トレイルの挑戦が完結します」
トップランナーだけではない。参加する目指すべてのランナーが主役。
男子も女子も、若者もお父さんも、「道志」を制覇したトレイルランナーは立派だ。

レポート=『トレラン王国』編集部

大会リザルトはこちら
大会公式サイト

つり橋が目印の第2関門。最後のピーク、鳥ノ胸山(左後方)が悠然とたたずむ
つり橋が目印の第2関門。最後のピーク、鳥ノ胸山(左後方)が悠然とたたずむ
第2関門のエイド。美味しい水は好きなだけ飲める
第2関門のエイド。美味しい水は好きなだけ飲める
鳥ノ胸山の登山道。ここから勾配がどんどん急になる
鳥ノ胸山の登山道。ここから勾配がどんどん急になる
レース会場で談笑するハセツネの歴代チャンプ(後藤豊氏と山本健一選手)。また二人のマッチアップが見たい
レース会場で談笑するハセツネの歴代チャンプ(後藤豊氏と山本健一選手)。また二人のマッチアップが見たい
レースDATA
dot_bule開催日

2010年5月16日(日) スタート午前7:00

dot_bule距離・クラス

ロングコース41.3km 、ハーフコース20.2km

dot_bule制限時間

ロングコース / 山伏峠・第1関門(20.2km地点)12:00、体験農園駐車場・第2関門(31.65km地点)14:30
ハーフコース / 制限時間13:00(6時間以内)

dot_bule高低差

1,056m(御正体山1,681m-道志中学校625m)

dot_bule参加数

ロングコース528名、ハーフコース237名

dot_bule完走率

ロングコース66.1%(完走者349名)
ハーフコース70.9%(完走者168名)

dot_buleコースレコード(男/女)

ロングコース(41.3km) 望月将悟5:03:13/間瀬ちがや 6:06:35
ハーフコース(20.2km) 尾崎友和 2:32:07/伊藤真弓 3:57:17

dot_bule大会HP

http://doshi-kanko.com/torair/

ランナーズVoice

  • 望月将悟選手

    望月将悟選手(ロングコース男子39歳以下1位)

    奥久慈のレースでは後半に平澤選手に抜かれた。今回は逆のパターンに。
    「5月は例年コンディションがあまり良くないので慎重にレースに入りました。前半から強い選手にリードされましたが前の選手に合わせると潰れるので辛抱しました。自分のペースを刻めたことが大きい」

  • 平澤賢市選手

    平澤賢市選手(ロングコース男子39歳以下2位)

    前半の道坂峠まではロングの部をリード。最後まで望月選手とトップを争った。
    「昨年はハンガーノックで第2関門でリタイアしました。3月のOSJ奥久慈(58km)よりもやはりこのコースはきつい。今回は望月さんに追いつけませんでしたが、エネルギーをすべて使い果たしてのゴールに満足しています」

  • 小川壮太選手

    小川壮太選手(ロングコース男子39歳以下3位)

    第1関門山伏峠ではトップ。中盤以降一時望月選手をリードした小川選手。
    「望月さんと平澤さんの先行は予想どおりでした。前半はとにかく付いて行こうと。でも後半は付いていけないだろうと。そのとおりになりました(笑)。最後のロードまで逃げ切れれば山本(健一)さんにも勝てるだろうと。自分としてはこれ以上ないレースでした」

  • 山本健一選手

    山本健一選手(ロングコース男子39歳以下4位)

    日本のエンデュランスマスター山本選手。周囲からの期待を一身に、でもマイペースで今年の初レース。
    「今シーズン初めてのレースなのでどの程度走れるのかを試すレースでした。ラストの鳥ノ胸山がきついことは知っていたので、そこに力を残してしていたのですが、だめでした(笑)。このレースでかなりいい刺激を入れられたので、今年もいいスタートが切れました」

  • 伊東 努選手

    伊東 努選手(ロングコース男子39歳以下5位)

    粘り強い走りを見せたが、スタート直後のタイム差がそのままゴールまで影響していしまった伊東選手。
    「自分としては(アップダウンが多く)好きなコースです。とても厳しく、走りがいのあるコースです。スタートからペースがやや速くて引っ張られました。付いてはいきましたが、上位には届かなかった。望月さんとは年が同じなので意識していますが、まだまだ力不足ですね」

  • 間瀬ちがや選手

    間瀬ちがや選手(ロングコース女子44歳以下1位)

    男子のエリートランナーに混ざり黙々と走り抜いた間瀬選手。
    「暑かった。ロンクスリーブで出ましたが間違えました。周りの選手がペーサーになってくれてとても走りやすかった。第2関門の水が冷たくて生き返りました。8カ月ぶりのレースだったのですが楽しみながらゴールできてホッとしています」

  • 尾崎友和選手

    尾崎友和選手(ハーフコース男子39歳以下1位)

    昨年はロングの部で優勝。ハーフでもスプリンターとしての力を遺憾なく発揮。
    「11月の東丹沢以来のレースでしたので、今年も走れる自信がつきました。ハーフだからといって無理をせず、昨年と同じリズムで走ったのがよかったと思います」

  • 伊藤真弓選手

    伊藤真弓選手(ハーフコース女子44歳以下1位)

    フルマラソン未経験でウルトラ100Kを完走(13:50)したという凄い方。
    「3月の房総丘陵トレイルラレースで2位でした。あのレースと距離は変わらないのにコースはきつかったですね。でも、景色がよくて緑が綺麗で楽しいレースでした」

  • ピレ吉

    ピレ吉(サポーター)

    スタートと第1関門山伏峠で選手を和ましてくれた、大会サポーターのピレ吉くん。
    「このコースはボクでもタフなコースなので、エイドではお姉さんからもらったバナナをしっかり食べてネ。ワン」(と言ったとか言わなかったとか)

コースマップ

コースマップ
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