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伊勢の森トレイルランニングレース2012

[開催日] 2012年12月16日 [開催地]  伊勢の森/朝熊山(三重県伊勢市)

レポート=トレラン王国編集部、撮影=金子雄爾、新庄雅文、取材協力=伊勢の森トレイルランニングレース実行委員会

伊勢神宮は日本全国にある神社の本宗(ほんそう)と位置付けられ、正式名称としては地名が付かない(伊勢にある)「神宮」なのだそうだ。そこで親しみを込めて「お伊勢さん」とか「大神宮さん」とも呼ばれるのだそうだ。太陽を神格化した皇大神宮を祀る皇大神宮を内宮(ないくう)、衣食住の守り神である豊受大御神を祀る豊受大神宮を外宮(げくう)と呼び、このふたつの正宮を総称して伊勢神宮としている。今年は20年に一度社殿が建て替えられる「式年遷宮」の年、近頃の神社ブームと相まって大勢の参拝客が予想される。ちなみにこの行事は1300年前から続いているのだ。
まずは外宮、次に内宮を参拝するのが正しい順路。この二つは離れているので、伊勢参りは地元の名産を賞味しつつ時間をかけた観光でもある。
この伊勢を舞台にしたトレイルランニングレースが2012年12月に初開催された。

お伊勢参らば朝熊を駆けよ

外宮の入り口となる大鳥居。この向こうに神が宿る
外宮の入り口となる大鳥居。この向こうに神が宿る
式年遷宮とは関わらない神宮の苔むした建造物。歴史の香り漂う
式年遷宮とは関わらない神宮の苔むした建造物。歴史の香り漂う

古くから地元で言い伝えられてきた言葉に「お伊勢参らば朝熊を駆けよ。朝熊駆けねば片参り」がある。意味は読んで字の如し。「伊勢神宮へ参拝したならば、合わせて朝熊山をトレイルランニングしなさい」ということだ。この実にキャッチーなメッセージは近頃ではNo.1だと思った。そして『伊勢の森トレイルランニングレース』のキャッチコピーなのである。
朝熊山とは伊勢神宮の背後に控え、伊勢市民のハイキングコースとして愛される標高555mの里山で、山頂展望台からは伊勢浜野の入り江や太平洋の大海原も眺望できる。
伊勢神宮に朝倉山。どちらかだけだと片参りということで、伊勢の森トレイルに出場するのなら、前日お伊勢さんにお参りして、明日のレースの事も合わせてお願いするのがいい。

伊勢市が共催し、神宮司庁が後援する同レースは洒落ている。伊勢神宮・内宮の入り口、土産や飲食店が延々と立ち並び日中は観光客でごった返しする「おはらい町」を周遊してから山岳路に入るのだ。観光コースをかじって、伊勢の森に分け入り山道を登っていくと、いよいよ眼前に広がるのが伊勢湾の入り江と浮かぶ島々。間もなく冬至を迎え全国的な寒波包まれるこの季節、ここ伊勢は太陽がまぶしく温かい。ただしこの日は海風が猛烈に強かった。山頂付近ではちょっと油断すると帽子がどこかえ飛んでいってしまいそうな烈風が選手を襲う。でも選手たちはグイグイと坂道を登っていく。トレイルランナー強し。

明日は総選挙。最後のお願いでごった返しのおはらい町
明日は総選挙。最後のお願いでごった返しのおはらい町
ご存知『赤福』おはらい町店。彼女と二人で食べるなら8個入り700円がお勧めです
ご存知『赤福』おはらい町店。彼女と二人で食べるなら8個入り700円がお勧めです

全国各地に展開するトレイルランレースの中では数少ないショートレンジな全長20kmのコース、最大標高差も545mということで、上位陣はスピードレースとなる。でも大多数の選手はちょうどいい距離だと思っているはずで、ゴール制限時間4時間半は頑張れば初体験のランナーでも完走は十分に可能だ。近頃のレースは距離がどんどん長くなって、それはそれでチャレンジャーのハートをくすぐるのだが、大多数のビギナーからはどんどん離れて行ってしまっている。トレイルレースは順位を競わずとも完走できれば達成感は十分という人が実は大半なのだ。
足元ばかりを見つめて寡黙に走り続けるだけではなく、レース中にめくるめく訪れる景色の変化や、森の匂い、肌を包む空気、風の音を感じること。都会では気付かない自然との対話こそがトレイルレースの醍醐味。時には立ち止って景色を堪能する余裕も欲しい。ここで1分費やしても、あなたの順位に大きな変動はないでしょ。でもレース後のイメージ(思い出)はさらに豊かなものになりますよ。

フィニッシュゲートを次々と選手がくぐる。この満面の笑みこそトレイルランニング大好きになりましたの証だ。

朝熊を駆ける。走り収めは神聖な伊勢の森で。ちょっとブームになるかも
朝熊を駆ける。走り収めは神聖な伊勢の森で。ちょっとブームになるかも
伊勢神宮へのメインストリートを駆け抜ける朝のハイライト
伊勢神宮へのメインストリートを駆け抜ける朝のハイライト
ちょっと右を観て見てください。トレイルランでは珍しい景色に驚き
ちょっと右を観て見てください。トレイルランでは珍しい景色に驚き

太陽の輝き同様温かい人々が囲むレース

大会前日にはコースプロデュースを務めたトレイルランナー石川弘樹氏によるコースガイダンスがゴール会場のサンアリーナで行われた。きめ細やかでユーモアもある説明は彼の真骨頂。初めての人は不安がここで解消する。このアットホームな空気は翌日も続く。
スタート前は選手の激励に出向いてくれた市長さんも「はなてらすちゃん」も選手もやや緊張気味。レースの朝はいつもこんなものだ。でもトレイルレースは山あり谷あり。走りながら、登りながらもいろんな人が選手をフォローしてくれる。

この日の伊勢らしいピーカン。風は強くても陽の輝きが選手を元気にする
この日の伊勢らしいピーカン。風は強くても陽の輝きが選手を元気にする

この大会のスタッフ、ボランティアのコース係のお兄さんにエイドのお姉さん、あおさ汁のお母さんも明るい。ニコニコして対応してくれるから選手も疲れを癒せる。威勢を奏でる太鼓もいっぱい出ました。三重の人がそうなのか、伊勢が観光の町だからかは分からないけど、自分たちの町や自然を訪れた参加者に楽しんで行ってもらいたいという歓待の気持ち(ホスピタリティとも言います)が伝わってくる。だからこちらも思わず「ありがとう」と応えてしまうのだ。

このレースはこれからトレイルランを始めようというランナー(マラソンを走って次なるチャレンジを探している人)がエントリーするにはちょうどいいレースだと思う。コースが比較的優しくて、それでいて冒険心をくすぐるヒットポイントがいくつも潜んでいたりして。そして山頂まで登れば素晴らしい景色。
冬の風が冷たい、でも心が温かい伊勢の人々。何だか神秘的でいつもと違う景色、一年の締めくくりの達成感。いやいやいいレースでした。お伊勢さんのお参りとぜひセットでどうぞ。

スピードレースを制したのは滋賀の山本大賀選手。スターの予感
スピードレースを制したのは滋賀の山本大賀選手。スターの予感
フィニッシュゲート前ではおばた離宮院太鼓の皆さんの出迎えの演
フィニッシュゲート前ではおばた離宮院太鼓の皆さんの出迎えの演
澄み切った青空のごとく石川弘樹ディレクターも爽やかな笑顔。八面六臂の活躍でした
澄み切った青空のごとく石川弘樹ディレクターも爽やかな笑顔。八面六臂の活躍でした
大会リザルトはこちら
大会公式サイト

大会レビュー

  • 伊勢神宮内宮のいちばん奥に位置する御正宮(ごしょうぐう)。お参りは厳粛に
  • スタート会場の三重県営陸上競技上に選手続々到着
  • 伊勢市のゆるキャラ「はなてらすちゃん」と鈴木健一市長が選手を出迎え開会宣言
  • さだひこ太鼓の響きに力みなぎる。やっぱり日本人には和太鼓です
  • 大会運営にあたり八面六臂の活躍の石川プロ。チラ見されました
  • 8時30分一斉にスタート。先頭集団の選手は最初からトップギア
  • 伊勢神宮への参道「おはらい町」にトップランナーが入ってきた
  • こんな観光スポットを走るなんて気分よさそうだな〜
  • あれ?  UTMBでもおなじみのsasashinさんですね。関東からも沢山の選手が参加
  • 開店前お掃除中の奥さんも選手にエール
  • カップルですかね。いいないいな
  • キャー、キャー、キャー〜
  • 後半までレースを引っ張った、地元三重の安立俊選手。とっても速かった
  • 長野県から参加した浦野裕之選手。険しい顔しているけどスタミナは十分
  • 風と闘うトレランマンズの百戸(ももと)選手。グローブしているあたりは流石
  • すぐ後に正統派スタイルは京都から参加の井上さん。爽やかな笑顔いいね
  • いつものピースサインで現れたのは2012TJAR2位の坂田選手地元いなべ市より参戦
  • 女子トップを快走する石川優子選手は京都から。どうやらトライアスリートらしい
  • 女子2位は佐野亜弓選手(三重)。どうやらフルマラソンを2時間40分台で走るらしい
  • 朝熊には由緒ある寺院が多い。奥ノ院極楽門が見えたら山頂も近い
  • 風が強くてみんな同じポーズになります
  • 折り返し地点朝熊山頂駐車場から望む伊勢、四日市方面
  • 朝熊山の遊歩道を周回。向こうに見えるのは太平洋
  • 朝熊山を後にして右手奥のコース最高地点・朝熊ヶ岳(標高555m)を目指す
  • 朝熊ヶ岳を越えると急激な下りの開始
  • 二瀬橋第2エイドで地元の甘い柿登場。いくらでも食べてってなー
  • アナログなんですよ〜。いいと思います
  • 大勢のボランティアスタッフが頑張ってますよ
  • こんなリバー越えもある伊勢の森。お父さん童心に帰る
  • お次はミニキャニオン越え。このくらいでもビギナーはドキドキですよね
  • 笑顔の素敵な女子選手登ってきました
  • また爽やかなスマイル
  • えっ、またまた。伊勢の森はステキ女子多し
  • ゴール会場となる三重県営サンアリーナ。立派です
  • 続々とゴールする選手たち。最高に気持ちいいでしょ
  • 山あり谷ありの20kmを走ってきたのに、汗を感じないキラキラ顔がスゴイ
  • ゴールした選手を待つ「おにぎり」と「あおさ汁」が新鮮。すごく美味しかった
  • 親子じゃなくて彼女だよね。彼女楽しんでくれたよね
  • 今回の「会場で見つけた可愛いお子たち」はパタゴニアのモコモコベストが似合う君だ
  • マーブルチョコ柄シャツにむら染めパンツ、モーお洒落なんだから!
  • 愛知県から参加のランニング仲間のお姉さまたち。トレラン盛り上げよう!
  • 芦屋、神戸エリアからやってきたスカイハイな仲間たち

ランナーズVoice

  • 石川優子さん(京都)

    石川優子さん(京都) 女子優勝

    もともとトライアスロンの選手で岡山代表として全国大会にも出場。2011年の徳島千羽海岸トレイルレース・ショートの部優勝経験もあるスピードランナー。レースは3回目。
    「思った以上にぬかるんでて最初は大丈夫かなと思いましたが、終わってみば急な登り下りやアドベンチャー的なコース設定でとても面白かったです」

  • 佐野亜矢さん(三重)

    佐野亜矢さん(三重) 女子2位

    OSJ新城11K2位、おんたけスカイレース2年連続3位という輝かしい戦績。風にも負けない大きなハットがとってもFunでした。
    「ロード畑で育ったのでいつも速いペースで入るのが悪い癖です。登りですごいペースダウンしました。第2エイドで石川さんに追いついたのですけど…、頑張りました。意外と走れるコースなので好きです」

  • 藤沢美希さん(兵庫)

    藤沢美希さん(兵庫) 女子7位

    学生時代はバスケット選手。トレイルランは昨年(2011年)10月デビュー。本人曰く「こんなにハマると思わなかった」。
    「宝塚の中山連山がホームゲレンデでいつも走っています。石川さんのレースは昨年斑尾50km出てからお気に入りです。でも走れるコースばかりなのでしんどい(笑)。コースからたまに見える伊勢湾がとても気持ち良かった」

  • 山本大賀さん(滋賀)

    山本大賀さん(滋賀) 男子優勝

    2012年は若狭路トレイル、白馬国際トレイル(ミドル)で優勝、神流マウンテンラン&ウォーク40km2位と関西代表トップランナーの一人。笑顔が爽やかな好青年だ。
    「風がきつくて冷たかったのですがボランティアの皆さんが温かくて、後押ししてくれました(←上手い)。15km地点でトップの方に追いついて(不運にも転ばれたのでしょうか)抜けたのはラッキーでした。ペース的には早いレースなのですが先週あった東山36峰の方がきつかったので、出ていてよかったです」

  • 浦野裕之さん(長野)

    浦野裕之さん(長野) 男子2位

    小学校の教諭をしながらトレイルランナーとして活躍。しかも冬場は国体クラスのクロスカントリースキーヤーに変身するアスリート。2011年は戸隠トレイルレースで優勝。斑尾50K2位。
    「個人的には50kmクラスが好きなのですがスピードレースになることは覚悟してました。戦術的には前半離されずに着いて行って、後半勝負を賭けようと思っていましたが前半の遅れがそのままの差になってしまいましたね。市内の観光通りを走るのが楽しいし伊勢湾がとても綺麗で、地元の白馬のレースとはまた対照的で印象的なコースでしたね」

  • TOYA SYUNSUKEさん(愛知)と櫛橋利江子さん(神奈川)

    TOYA SYUNSUKEさん(愛知)と櫛橋利江子さん(神奈川)

    ゴールで声援を送っていた二人。たぶん遠距離○○中のNICEカップル。
    TOYAさん「トレイルランとトライアスロンを楽しんでいます。トレランは2年目で、今年は斑尾、白馬、武田の杜のレースに出ました。トレイルランはスリリグンな下りが大好きです。今日はリーバー越えとかもあって、やっぱり石川さんのレースは面白い」
    櫛橋さん「アウトリガーカヌー競技をやっています。トレイルランは1年目です。落ち葉の上を走るフカフカした感覚が大好きです」

  • 山田恭也さん(三重県)

    山田恭也さん(三重県)

    地元伊勢市のランニングクラブに所属するランナー。市民ワク20名に応募が330人。抽選を勝ち抜いて参加。「初めてのトレイルランです。下手なレースはできないので試走は山頂まで3回しました。地元の強みですね(笑)。2週間前に伊勢マラソンの10kmの分に出場したばかりですが、ロードとの違いはやはりタイムではなく自分との闘いということ。トレイルは完走するだけで十分楽しいですね」

  • 熊田陽子さん(千葉県)

    熊田陽子さん(千葉県)

    3年前、石川弘樹氏を某スポーツバラエティ番組で見てからトレイルランに夢中という、石川氏プロデュースのレースを旅する乙女。
    「以前はマラソンでした。いまはトレイルレースのためにロードを走っています。今年は斑尾、武田の杜、平尾台、信越五岳に出ました(コンプリート!!)。スピードレースは苦手で、旅のようなレースが好き。いつも自分なりに頑張った感を満喫して旅を終えます。今日は下りが楽しくて、フカフカもあってよかったです」

レースDATA
dot_bule開催日

2012年12月16日(日)8:30〜五十鈴公園スタート

dot_bule距離・クラス

20km

dot_bule制限時間

フィニッシュ20㎞ 4時間30分

dot_bule高低差

545m(八大龍王555m-三重県営総合運動場・五十鈴公園10m)

dot_bule参加数

出走男子288名、女子113名

dot_bule完走率

男子88.1%(完走254/出走288名)
女子89.3%(完走101/出走113名)

dot_buleコースレコード(男/女)
20㎞男子山本大賀1:37:58
20㎞女子石川優子2:09:42
dot_bule主催

【主催】伊勢の森トレイルランニングレース実行委員会、株式会社スコルチャ三重

【共催】伊勢市、伊勢市教育委員会、伊勢市まちづくり市民会議 産業分科会

dot_bule大会HP

http://trailrun.sun-arena.or.jp/

コースマップ

コースマップ
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