シリーズ にっぽんのネイチャートリップ(2)北海道・ニセコ | 輝く森を探しに、夏のニセコへ 特集企画一覧へ

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ニセコトレッキング

ニセコはウィンターリゾートとして有名だが、夏から秋にかけてのアウトドアスポーツや行楽のスポットとしての実力も高い。そこには北海道らしいスケールのでかい自然が広がっている。ニセコアンヌプリを主峰として、イワオヌプリ、ニトヌプリ、チセヌプリの連山、神仙沼を始めとする湖沼では本州とは植生の異なる森や高山植物が見られ、蝦夷富士羊蹄山、日本海も眺望できる。トレイルは一部ワイルドだが、夏場でも静かな山旅が楽しめる。交通網が整備されていて、ニセコ連峰を2本の観光道路が縦断しているため、山や湿原へのアプローチもたやすいのも嬉しい。今回は山麓のひらふ町の中心街から車で30分ほどの五色温泉をベースとした2つのプランを紹介する。 レポート=『トレラン王国』編集部 写真=花村一昇

PLAN1 ニセコアンヌプリ登山 五色温泉〜アンヌプリ山頂・往復

ニセコの中心にそびえる 360度のパノラマ展望台

ニセコはその昔、スキーヤーの間で『東洋のサンモリッツ』と呼ばれ、スキーヤーの間では憧れの存在だった。もちろん現在も北海道有数のウィンターリゾーとして、冬は国内はもとより、オーストラリアやアジア諸国から多くのビジターがやってくる。その中心となるのがニセコアンヌプリ山だ。東から南斜面にかけてはスキー場が開け、ひらふの町から眺める夏のアンヌプリは構築物が気になるところだが、山の裏手(北西側)から見るアンヌプリ山は悠然としていて、見事な男っぷりを見せるニセコの主峰。

五色温泉野営場に隣接した駐車場。キャンプ場の管理人さんが徴収にきたら駐車料金を払うシステム
五色温泉野営場に隣接した駐車場。キャンプ場の管理人さんが徴収にきたら駐車料金を払うシステム

登山のスタートは五色温泉。野営場の横に登山口がある。ここから山頂まで約2時間の距離。五色温泉までバス利用なら山頂を経由して、ヒラフスキー場コースを下りひらふの町へ下りるルートもおすすめだ(山頂から1時間20分)。今回は五色温泉往復プラン。山頂でのなごみ眺望も含めて全行程4時間の行程だから、夜明けとともに行動すれば、お昼前にはひらふの街でランチが食べられる。
野営場から続く見返坂を20分ほど登ると見返坂分岐に到着。小高い展望広場にチムニー(石を積み上げた円錐形の目印)建つ。広場からニセコ町やひらふ町方面の視界が広がり、台形のどっしりとした山頂もぐっと近くに迫る。本格的な登りはここからだ。

ニセコアンヌプリ稜線でも6月末になると色とりどりの高山植物が開花する
ニセコアンヌプリ稜線でも6月末になると色とりどりの高山植物が開花する
やっぱり富士山にそっくりな蝦夷富士・羊蹄山
やっぱり富士山にそっくりな蝦夷富士・羊蹄山

尾根に開かれた登山路はガレた急な登り。ただ難しいことはないので、呼吸を整えながら一歩一歩登って行けばいい。8合目あたりからニセコ連峰方面を振り返ると、イワオヌプリ、チセヌプリ、さらにシャクナゲ岳、ずっと奥に無数に残る雪渓を模様のようにまとった目国内岳(めくんないだけ)の稜線が続く。この稜線を2日間もラン&ウォークを続ければ日本海に面した岩内の町にたどり着く。しかし、ニセコ連峰には無人小屋すらない。そのチャレンジにはツエルトと夏でも防寒装備が必要となるのだろう。

登山道はこのようにガレ場が主体。下りもスピードを出さずにセイフティを心掛けよう
登山道はこのようにガレ場が主体。下りもスピードを出さずにセイフティを心掛けよう

20分ほど登ると山頂のテーブルに乗った。前方に避難小屋が見える。五色温泉を出発して2時間、山頂(標高1308m)に到着。ここまで約800m登って来た。左奥に日本海と積丹半島がぼんやりと見える。右手には羊蹄山が凛々しくそびえる。「本当に富士山にそっくりだなあ」と改めて凝視してしまう。
復路は下り一辺倒だがガレ場では、安全のためスピードを出さずにゆっくり下りたい。
ニセコに来たら足馴らしを兼ねて登れる山。そしてニセコの玄関にそびえる絶好のパノラマ展望台。それがアンヌプリだ。

取材季節=7月上旬

五色温泉へのアクセス

ひらふの中心街から24km。車で約30分。バス利用の場合はJR函館本線「ニセコ駅」からニセコバス「五色温泉郷」終点下車約40分。アクセスのスピーディーさを考慮すると車(レンタカー)利用が圧倒的に便利だ。駐車場は五色温泉野営場にある(1日500円)。

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  • 五色温泉の日の出。本日はワクワクして早起きしました
  • 登山口は野営場にすぐ脇。しっかりストレッチングして出発
  • ツツジの仲間タニウツギが咲き誇る
  • 見返坂分岐からニセコ町方面。彼方に見えるのは昆布岳
  • アンヌプリ山頂もすぐそこに見える
  • 山頂へは尾根伝いのガレたトレイルを行く
  • 山頂直下コース上からニセコ連峰
  • 大人色の薄い紫はチシマフウロ
  • まもなく山頂に到着。足馴らしにちょうどいいハイク
  • 羊蹄山の方が500mも高いのになぜか見下ろすように見える
  • 山頂からはおぼろげに日本海と積丹半島が見える
  • 山頂にある測候所跡のモニュメント

参考データ

PLAN2 ニセコハイランド周遊 五色温泉〜ニトヌプリ〜チセヌプリ〜神仙沼〜五色温泉

感動の連続にカラダ火照りっぱなし ニセコハイランドの実力

ニセコアンヌプリの裏手には、広大なニセコ連峰が連なる。連峰といってもその山容は穏やかで、ハイマツ帯の低木で覆われた山はどれも丸みを帯びていて、部分部分険しい箇所ははあるものの、高低差も少なく難度はさほど高くない。時計回りに回ると、前半はニトヌプリ、チセヌプリの縦走。後半は長沼、神仙沼、大谷池、大沼の水辺巡りと好対照なルート。まさにツーイン・ワンのトレッキング&トレイルランが楽しめる。

ニトヌプリから眺望するアンヌプリ(右)とイワオヌプリ。羊蹄山はアンヌプリに隠れて見えない
ニトヌプリから眺望するアンヌプリ(右)とイワオヌプリ。羊蹄山はアンヌプリに隠れて見えない

ニセコハイランドの全容は山麓の町にいても把握できない。山に分け入り、どこかの頂から周囲を見渡すことで初めてそのスケールの大きさが解かる。ここで紹介する五色温泉を起点とする神仙沼までの周遊コース(約20km)は、ガイドブックで紹介される一般的コースタイムでは歩行時間だけで約9時間を要することになっている。しかしトレイルランを併用すれば、観光スポットの神仙沼周辺で十分な休息をとっても8時間程度で巡ることができる。ただし、夏は陽が長いとは言え早朝8時には五色温泉を出発するプランを立てよう。

ニセコの懐に分け入る
チセヌプリまでくるとアンヌプリも遥か向こうに。イワオヌプリの向こうに頂だけが見える
チセヌプリまでくるとアンヌプリも遥か向こうに。イワオヌプリの向こうに頂だけが見える

五色温泉から右手にイワオヌプリ(硫黄山)を望みながらカンバの森をイワオヌプリ分岐へ進む。ここからイワオヌプリに登山することができるが今回はパス。正しくはこの分岐が周回コースの起点となる。帰りもここに戻り五色温泉へ下る。
ルートを左手(時計回り)にとりニトヌプリ(標高1080m)を目指す。正面につづら折りの登山道が見える。山頂への標高差は200mほどか。取り付きまでトレイルラン。 ウォーミングアップで登り切ると山頂は北稜と南稜のふたつに分かれる岩の峰。前方にチセヌプリ、奥にシャクナゲ岳とさらに続く稜線、ふりかえればアンヌプリがどっしりと構える。なんという雄大な景色だろう。いよいよニセコの懐に入って来た。
ここから一端観光道路パノラマラインが走る鞍部(標高830m)まで下山。そこからチセヌプリ(標高1134m)へ登り返しとなる。キツイが高度が上がるごとに変化する景色を見れば苦行はいつしか快感に代わる。パノラマラインまでの下りは、藪に巨岩がゴロゴロ。不安定な場所もあるので用心しながら下ろう。

神仙沼レストハウス。食堂は無いが飲料の補給はできる
神仙沼レストハウス。食堂は無いが飲料の補給はできる
レストハウスから5分ほどの所に岩内方面が見渡せる展望台がある
レストハウスから5分ほどの所に岩内方面が見渡せる展望台がある

登り返しは今日イチとなるが、まあそれでも高低差300m程度にすぎない。案内人の竹樋さんと小笠原さんは岩のトレイルに臆することなくガンガン登っていく。さすがニセコローカル。
時折振り返ると道路がどんどん小さくなりやがて森に吸い込まれていく。1時間もハイマツ帯を登るとチセヌプリ山頂に到着だ。北斜面のルート上には7月の初めまではまだ雪渓が残っていて、火照った体を冷ましてくれる。

神々の住むニセコの別天地
神仙沼周辺には大小の沼が点在。夏の北海道の高原は爽やかだ
神仙沼周辺には大小の沼が点在。夏の北海道の高原は爽やかだ

ビーナスの丘(地名由来は不明)から稜線に分かれを告げ神仙沼を目指す。下山を続けると正面に湖のように大きな沼が見えてくる。長沼だ。雪解け水が創作した巨大な沼。 笹のトレイルを進むと突如ボードウォークに代わる。神仙沼のエリアに入った。ここは観光バスが訪れるニセコ屈指の観光スポット。といっても最盛期の週末を除けばいたって静か。本州の高原とは比べ物にならないほど穏やかだ。
ボードウォークを進むと、広い草原に出た。よく見ると草原の所々に無数の池が点在する。さらに進むと神仙沼に到着。本日は風がない。水面は鏡のように地上の自然と青空と雲を映しこみ、神秘的な世界を造り出す。絵画でもない絵ハガキでもない。目の前に広がる景色は現実だ。そこはまさに神々の住むニセコの別天地。

大沼を過ぎると草原に出た。ニセコハイランドでは次々とインパクトある情景に出会う
大沼を過ぎると草原に出た。ニセコハイランドでは次々とインパクトある情景に出会う

神仙沼の北側入り口には先ほど通過してきたパノラマラインがとおり、駐車場にはレストハウスとトイレ、そして岩内方面の展望台がある。レストラン機能はないが飲料水やアイスが売っている。折角なので往復10分の展望台にもぜひ足を伸ばそう。神仙沼レストハウスは長沼から進むと神仙沼の手間の分岐で一端コースアウトする。往復30分ほどかかるが、休息には恰好のスポットだ。
神仙沼まで来れば残すところ全行程の3分の2。五色温泉までは3時間半の行程だ。下山後、五色温泉で汗を流すことも想定し、午後2時までには出発しよう。
パノラマラインを再び横断し大谷池、丘陵を越えて大沼。湿地と湖畔を通過して快適に進むと、樹木のまったくない、硫黄色石が堆積した広大な広場に出る。

硫黄鉱山跡の河原。この辺りにその昔集落があったらしい。こんな山奥に…、驚き
硫黄鉱山跡の河原。この辺りにその昔集落があったらしい。こんな山奥に…、驚き

小笠原さんによれば、そこは昭和初期まで鉱山として開かれた場所らしく、いまでは暮らしの気配などないが、当時は民家や学校もあったという。こんな山奥に人々が暮らしていたなんて、ちょっと信じられない。
再び樹林帯に入るが、地面は土から岩石が細かく砕けた硬いトレイルになり走りやすい。地層の変化とともに、トレイルと周囲の植生が目まぐるしく変化する。本州では見たことがない花が次々と登場する。本日のエンディングを迎える前のクライマックス。
イワオヌプリの分岐に戻って来た。朝来たコースを逆に進むと、また景色が違って見えるから新鮮だ。眼下に五色温泉が見えた。午後4時、まもなくゴール。だがゴールに着くのが寂しい。ここまで8時間。今日は時間が経つのがとても早く感じる。感動の連続で火照りっぱなしのカラダは、五色温泉につかるとどうなってしまうのだろう。ニセコハイランドの実力は凄い。

取材季節=7月上旬

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  • ニセコ野営場の出発。いや〜二人とも元気溢れてます
  • 案内板でおおむねのルートを再確認
  • 五色温泉を朝8時に出発
  • アプローチは白樺の明るいコースが続きます
  • 出た!! つづら折り。でも負けない
  • 左後方は小イワオヌプリ。遺跡のようなキレイな台形の丘
  • 紫に輝くシラネアオイ"
  • ニトヌプリにアタック
  • 20分も登れば山頂(北稜)に到着。まだせ余裕あり。なごむ二人
  • 振り返ればもうこの景色ですから。ありがとう
  • お次は本日の主峰チセヌプリ
  • 休んでいるのではなく立ち往生。道なき道の下り
  • パノラマラインを200mほど横切るとチセの登山口
  • 登り口はこれまたエグイ岩の殿堂
  • 樹林帯を抜けると夏の日差しが眩しい
  • 今度はちょっと足にきたかも
  • ここから先はハイ松が行く手を阻みトレイルが急に狭くなる
  • 正面の「甘食」(古っ)のような山がシャクナゲ岳
  • 雪渓の脇に咲く美しい花。何ていうのでしょう
  • 冬の豪雪でダケカンバの木もこのようにトレイルをふさぐ
  • あざやかな黄色い花はシナノキンバイ
  • 天然のクーラーでしばし休息
  • やっぱり作っちゃいました。小笠原作
  • 前方に巨大な沼(長沼)が登場
  • 湖畔のはずなのにいっこうに見えないな
  • 水は冷たくクリア。何か住んでいるのだろうか
  • 神仙沼周辺の湿原。夏の始まりは静か
  • これが神仙沼。いつまでもボーっとしていたい
  • 水のカンバスに描かれたナチュラル
  • 湿原に沿ったトレイルはちょっと暗いけど涼しい
  • 葉がすごく大きいのに花が指の先ほどの大きさ。この花は何?
  • トレイルから垣間見る大沼。この沼だけは湖畔に近づけません
  • ここが硫黄高山跡。ファイト一発!!
  • このコース、リバー超えもあります
  • トレイルの雰囲気が変わり周囲の植生もダイナミックに変化
  • 小イワオヌプリの近くで見つけた可憐な花。牧野富太郎先生教えてください
  • イワハゼという魚ような名の花。あちこちにたくさん咲いていた
  • 男は座って人生考える。「今日の夕食はどこ紹介しようか」
  • イワオヌプリ。次回訪れたときはきっと登るから
  • 五色温泉帰還。ニセコの天然水で蘇る

参考データ

ニセコ案内人
竹樋秀康

竹樋秀康(たけひ・ひでやす)
前職のメーカー勤務時代はNY、ドイツ、オランダなど海外に駐在。7年の海外生活中ランニングを始め、大小30以上の市民マラソンに出場。自己ベストはフル3時間46分。2008年ニセコへ移住。ニセコプロモーションボードでニセコの魅力を伝えるナビゲーターとして活躍。ランナーとして今回初のトレイルラン。そして「なまら感動しました!!」

ニセコプロモーションボード
www.nisekotourism.com/

小笠原彰

小笠原 彰(おがさわら・あきら)
東京で8年間バレイダンサーをした後、北アルプス燕岳、尾瀬の山小屋で働き、一昨年故郷ニセコに帰郷。趣味は登山、カメラ、テレマークスキー、畑、自転車、バードウォッチング、シーカヤックと多彩なアウトドアスポーツマン。トレランは2009年エクステラ丸沼30km、第1回東丹沢トレイルラン33.5kmのレースで完走。現在ニセコをベースにヨガ教室『Nisekoyoga』を主宰。

Nisekoyoga
www.nisekoyoga.com/

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