世界遺産ブームも手伝って、秘境や大自然を探しに海外に出かけるトラベラーは後を絶たない。しかし日本にも素晴らしい自然やロケーションはいくつもある。ただそういった場所の多くは、その一場面を外れると日本有数の観光地やリゾートと呼ばれるくくりのなかに存在し、高級なホテルやロープウェイなどの人工構築物が構えていたりする。
さて、今回ご紹介する北海道・道東エリアは、構築物といえば森の中に切り開かれた幹線道路だけ。何十キロか走って現れる交差点に商店がある以外は、農場や牧場が点在するだけ。そこから一歩、山に分け入れば、そこはもう手つかずの針葉樹林の森。森の向こうには透き通った水を湛える湖が姿を現す。
ラムサール条約により釧路湿原の自然は守られているが、21世紀初頭の日本において、これほど豊かな自然がこれほどまでに広大なエリアに残された理由は地理的な条件によるものだと思われる。この地はこれ以上の開墾や開発をせずにそのままの姿でこれから未来も残していて欲しいものだ。
6月中旬、短い春が終わり、間もなく夏を迎えるもっとも瑞々しいこの季節。われわれは道東の自然にどっぷり漬かるため釧路を出発した。世界遺産に認定されて世界的ブランドになった知床だけではない、北海道、なかでも道東は世界に誇れるネイチャーランドだ。(本特集は2008年9月刊行の雑誌『トレイルランナー』で紹介した記事を再編集したものです)








